「捨ててから買う」が正解!トヨタ式に学ぶ、人生を整える「順序」の大切さ

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

実験器具のメンテナンス、クラス事務の処理、終わらないテストの採点…。 期末や年度末になると、まるでエントロピーが増大するように(=乱雑さが増すように)、やるべきことが机の上に積み重なっていきます。みなさんは、こうした仕事の整理や片付け、どうこなしていますか?そんな中、ふと目にした「トヨタ式」の片付けに関する記事が、非常に興味深い視点を与えてくれました。

トヨタ式片付け術に見る「不可逆」なルール

教員という仕事は、毎日が整理整頓との戦いです。なにかヒントになればと記事を読み進めていく中で、最もハッとしたのが次の一文でした。

「ひとつ買ったら、ひとつ捨てる」ではなく、「ひとつ捨てたら、ひとつ買う」ということ。

この順番が、決定的な違いを生むというのです。 数学の世界では「A+B」も「B+A」も答えは同じですが、人間の心理や行動の世界では、この順番の入れ替えが大きな意味を持ちます。「買ったら捨てる」だと、「買ったから(満足して)捨てない」という未来が容易に想像できます。しかし、「捨てたら買う」というルールにすれば、「空きスペース(欠乏)」を作ってからでないと次へ進めないため、必然的にモノが循環し、整理整頓が保たれるのです。

理科の世界でも「順番」を間違えると大惨事?

この「順番が大事」という話、理科教師の視点から見ると、化学実験における「濃硫酸の希釈」と重なって見えます。濃硫酸と水を混ぜて薄い硫酸を作るとき、最終的な物質は同じでも、混ぜる順番は絶対に変えてはいけません。

・水に、硫酸を加える → 安全

・硫酸に水を加える → 危険(突沸して飛び散る!)

結果としての構成物質は同じでも、プロセス(手順)が違うだけで、安全に終わるか、大事故になるかが決まってしまうのです。「行動」と「行動」のひっくりかえりは、時に劇的な違いを生むのですね。

「やる気」の出し方

これは、私たちの「やる気」や「勉強」にも応用できます。 よく「やる気が出たら、勉強する」と言いますが、脳科学的には「勉強を始めたら、やる気が出る」が正解だと言われています。「作業興奮」という言葉をご存じでしょうか。 まずは何も考えずに手を動かし始めることで、脳の側坐核という部分が刺激され、後から集中力がついてくる現象です。

「考えてから、はじめる」と慎重になりすぎると、不安や面倒くささが勝ってしまい動けなくなることがあります。 逆に「はじめてから、考える」というアプローチは、化学反応における「活性化エネルギー(反応を起こすのに必要な最小限のエネルギー)」を乗り越えるための、最も効率的な手段なのかもしれません。

たかが順番、されど順番。 生活の中の「順序」を少し変えるだけで、結果が大きく変わる実験。みなさんも試してみてはいかがでしょうか。

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