なぜ?心が通じる科学実験のふしぎ
今年度、はじめて中学1年生の理科を担当しました。
それまでは高校生を中心に、中学3年生までしかもったことがありませんでした。
年度当初は、中1について定年でやめられたベテランのS先生に忠告を受けました。
「話が通じないから、何度も同じことを言う必要があるよ!」
「宇宙人だよ」
というように。
たぶん冗談も入っていて、ぼくをからかう目的もあったと思うのです。
今まで小学生向けの実験講座もやってきているので、
そんなに難しくはないだろう、という気持ちもありましたが、
ぼくはまんまとその言葉を信じてしまい、恐る恐る授業にいきました。
実際に対面をしてみたら、小学生にも見えるような生徒たち。
宇宙人には見えませんでした。
しかし、見た目ではもちろんなく、確かになかなかぼくが話していることが通じない。
生徒の立場であれば、白衣をきたおじさんがちょっと難しそうなことを
話しているのだから、向こうとしても火星人かタコに見えていたかもしれません。
でも授業をしてみて、呼吸を合わせようと思って、わかったことは、
「お!伝わったぞ!」
ということが、たくさんあったことです。
「これは通じるんだ」、「あれ?これは通じないんだ。」
通じるポイントが見つかると、うれしいものです。
そして心がつながったとき、妙な一体感がでて、盛り上がります。
それもおどろきの1つでした。
つながる一番のポイントは、やっぱり演示でも、生徒実験でもそうで、
実際に観察することにありました。
例えば液晶を顕微鏡で見たときの様子を、昨日の記事で紹介しましたが、
[blogcard url=”https://phys-edu.net/wp/?p=27113″]
こういったものは、大人がみても、子供がみても、心を揺さぶり、感動するものです。
液晶を拡大すると、赤と青と緑の光で構成されていることがわかります。
中1には見せていないのですが、絶対に通じます。
そこに言葉はいらなくて、「おお〜」となる。
資料集やビデオなどで見るのではだめで、
やっぱり目の前でやることが大切なのですね。
ぼくの説明は不必要。
たぶん人間ならだれしも、例えば文化を共有しない集団にも、
「科学の面白さ」というのは、届くとおもうのです。
中学生と心がつうじたとき、その後の授業はずっと楽になりました。
同じ体験を共有したからかもしれません。
それにしても、なぜ観察したときの驚きや喜びは、人間に共通するのかなぁ。
ふしぎ。
実験というコンテンツのすごさと、誰にでも授業ができるのだなという自信を
持てた1年でした。