記録テープではデキない実験!なぜセンサーを使うのか?
今日は理科教員に向けてイージーセンスという実験用センサー機器についてご紹介いたします。みなさんはイージーセンスという機器をご存知でしょうか。
国際バカロレアの理科の教科書を読んでみるとわかりますが、
実験には基本的にセンサー機器を利用していることがわかります。
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なぜセンサー機器を利用しているのかということで疑問を持つかもしれません。
例えば等加速度直線運動の実験についていえば、センサーを使わなくても、
日本の教科書にあるように記録テープで事足りてしまいます。
また記録テープでテープをきりながらデータを解析することは、
手を動かしながら速度や変位について学ぶことになるので、効果的でもあります。
私もそう思っていました。でも実はセンサーを使わないと不便なことがあったり、
センサーをつかわなければできない実験などがあるわけです。
またセンサーで得たデジタルデータを解析すること自体、
これから社会に出たときに大切なスキルとなっていきます。
しかしながら、センサー機器は高くてなかなか普通の学校では値段が高くて手がでにくいところでもあります。ただし、とりあえずセンサー機器が1台あれば、それを電子黒板やプロジェクタと組み合わせることでいろいろな実験の演示が可能になるのでおすすめです。
今日はそんなセンサー機器にしかできない「負の等加速度直線運動」の実験方法と、
生徒への見せ方についてご紹介したいとおもいます。
科学のレシピ
用意するもの
イージーセンス、距離センサ(超音波センサ)、力学台車、斜面
イージーセンスの設定方法
① イージーセンスの設定は、「グラフ」を選び、測定時間5〜10秒、測定間隔20msにする。
② 3種類「距離・速度・加速度」の3つのデータを同時に設定したいので、それらを設定していく。
ツール > 測定前設定ガイド
プレセット関数 > 運動
公式 > 速度または加速度 > 単位の選択 ?/s のところを m/s にする。
これで、3つのグラフがセット完了。
③ グラフに戻り、y軸の部分をタップすると、距離、速度、加速度と変更できるようになる。このまま実験をすると、3つの物理量が1つのグラフに同時に表示される。
④ グラフを3つ用意する。
グラフオプション > グラフの数 > 3
⑤ これで3つのグラフがセットされる。それぞれ上から距離、速度、加速度に設定をする。最後に、グラフの上で右クリックをして(軸のうえではない)、「チェンネルの表示・非表示」を選択。表示をしたいグラフのみ選択をする。
実験をやってみよう!
① 超音波センサを斜面の下部におき、台車手でおさえて設置します。
② イージーセンスの記録ボタン(三角形のボタン)を押します。
③ 台車に初速度を与えます。
実験結果
台車を斜面で滑らせる実験をしてみると、次のようなグラフがリアルタイムで描かれていきます。
例
なお速度や加速度については、イージーセンスのソフトのほうで距離のデータを微分して計算をして表示をしています。実際測定しているのは、距離のみということですね。また負の等加速度直線運動のグラフは、非常につかみにくく生徒がよく問題で苦労をするところです。この実験を一度やっておくと、格段に生徒の理解度があがります。
さらにこの実験の良いところは、記録テープではできないということです。記録テープがたるむ方向に動くことになるからです。また記録テープとは違って良いところは、何度も実験がすぐにできることです。記録テープであれば実験を失敗してやり直す場合には、すぐにはできませんし、また解析に時間もかかってしまいます。
解析に関しては、リアルタイムに見せた後に、データで書き出してExcelで同じようなグラフを生徒に作らせるというのも、生徒のICTスキルを育てることに繋がると思います。ぜひいろいろな場面でお試しください。
この実験からわかること
この実験から、物体は斜面を登るときと下るときで、速度の変化(加速度)の割合が常に一定だということに気が付きます。また斜面の角度と台車の加速度の関係を調べれば、
mgsinθ=ma
gsinθ=a
という関係性にも、気がつくでしょう。物体にはたらく重力を斜面方向と斜面垂直方向に分解した成分、mgsinθが、物体の加速度に関係しているということに、つなげることができます。
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