物理の授業が変わる。リアルタイム計測で「単振動」を完全可視化

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

「力(ちから)」というものは、残念ながら人間の目には見えません。押したり引いたりする感覚はあっても、それが「今、何ニュートンの強さなのか?」「どのように変化しているのか?」を瞬時に知ることは難しいですよね。だからこそ、物理の授業は少しとっつきにくく感じるのかもしれません。今日は、そんな目に見えない力を「見える化」してくれる、ICTを活用した実験をご紹介します。

「見えない力」を可視化する魔法の道具

今回使用するのは、「イージーセンス」という計測機器です。これは、温度や音、光、そして力など、様々な物理量をリアルタイムでPC画面にグラフ化してくれる非常に便利な道具です。私はPCと接続する「3リンク」というタイプを愛用しています。今回用意した実験セットはこちらです。用意するもの:力センサ×2、スタンド、ばね、おもり70g×2(水圧実験で使うものを使いました)、PC%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-11-18-10-09-26

力センサ

実験1:壁を押すとき、壁もあなたを押している

まずは中学3年生などで学ぶ「作用・反作用の法則(ニュートンの運動の第3法則)」の確認実験です。「AがBを押すとき、BもAを同じ大きさの力で押し返している」という法則ですが、言葉だけだといまいちピンときません。そこで、2つの力センサを使って、お互いのセンサ部分を押し付け合ってみます。すると、PC画面には驚くべき結果が表示されます。

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赤と青の線がほぼ同一になっているのがわかります。

いかがでしょうか。片方が力を強めれば、もう片方も全く同じタイミング、同じ大きさで力を返していることが、グラフの重なりから一目瞭然です。アナログの「ばねばかり」を使った実験も手軽で良いのですが、このようにグラフとして数値で瞬時に表されると、説得力が違います。生徒一人一人に実際に押してもらうと、「本当に同時に力が働いているんだ!」と実感してもらえるはずです。

実験2:揺れるバネの「リズム」を見る

次に、高校物理の範囲になりますが「単振動(たんしんどう)」の実験です。力センサをクランプでスタンドに固定し、そこにばねとおもり(合計140g)をつるして「ばね振り子」を作ります。

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ここでポイントなのがおもりの重さです。力センサは最大50Nまで測れる代わりに、精度が±0.1Nとやや粗めです。そのため、きれいなデータを取るには、少し重めのおもり(今回は140g)をつけて、力の変化を大きくするのがコツです。実際に揺らしてみると、ばねにかかる力が美しい波形を描いてリアルタイムで表示されていきます。(センサのレンジは-5Nから+5Nに設定しました)

ゆらゆらと揺れるおもりの動きが、そのままグラフの波になっていますね。これを見ているだけでも物理の美しさを感じます。さらに、運動方程式F=ma(力=質量×加速度)を思い出してください。このグラフは「力」を示していますが、質量 m で割れば、それはそのまま「物体の加速度」の変化を表していることにもなります。

位置と力の「逆転関係」を発見する

さらに発展させて、おもりの下に「モーションセンサー(距離センサ)」を置いて、位置の変化も同時に記録してみました。すると、非常に興味深い物理法則が見えてきます。%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2016-11-18-10-10-21

上が力センサ、下がモーションセンサーのグラフ

上のグラフ(力)と下のグラフ(位置)を見比べてみてください。山と谷がちょうど逆になっているのがわかりますか?これは、「おもりが一番下にあるとき(位置が最大)、ばねは一番強くおもりを上に引っ張り上げようとする(力が最小=上向き)」という、復元力の性質を見事に表しています。「位置」と「力」が逆の動きをする。言葉で説明すると難しい概念も、こうして目の前でグラフとして見せれば、生徒たちの理解も深まります。演示実験として見せておく価値は大いにありです。

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