液体から無限に糸が出る?「ナイロン合成」の驚き実験
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
普段私たちが着ている洋服や、ストッキング、バックパックなど、身の回りには「化学繊維」があふれています。では、その繊維が「ただの液体」から生まれる瞬間を見たことはありますか?今回は、本校の化学のT先生にお願いをして、科学部で「ナイロン」を合成する実験を行いました。まるで魔法のような化学の変化を、ぜひご覧ください。
液体から「糸」が生まれる瞬間
実験はとてもシンプルです。2つの異なる液体をシャーレに入れて、その境界部分をピンセットでつまんで引っ張り上げるだけ。すると……



すごい!液体の中から、白いひもがピヨ〜ンと出てきました。感動の一瞬です!引っ張り上げても切れることなく、どんどんどんどん出てきます。これを太い試験管にくるくると巻きつけて回収していきます。この連続して出てくる様子は、何度やっても見入ってしまいます。

巻き取り終わったら、薬品を落とすために水道水でよく洗い流し、ナイロンの糸を取り出します。 触ってみると弾力があって、まるで少し太い蜘蛛の糸のような感触です。中にはうまく巻き取れず、芸術的な「塊(かたまり)」を作ってしまった生徒もいました(笑)。それもまた実験の醍醐味ですね。

水と油の「境界線」で起きる化学反応
今回の実験で使った「魔法の液体」の正体、それは以下の薬品です。
・アジピン酸ジクロリドのヘキサン溶液(油の性質を持つ液体)
・ヘキサメチレンジアミンと水酸化ナトリウムの水溶液(水の性質を持つ液体)
この2つの液体を混ぜ合わせるのがポイントです。 水溶液(2)を先にシャーレに入れ、その上から静かにヘキサン溶液(1)を注ぎます。すると、水と油が混ざらないのと同じように、2つの液体は混ざり合わず、きれいな「境界面」ができます。
実は、この「境界面」でのみ化学反応が起きているのです。 アジピン酸ジクロリドとヘキサメチレンジアミンが、液体の境界で手をつなぎ(重合し)、ナイロンという新しい物質に変わります。これを「界面重合(かいめんじゅうごう)」と呼びます。
ピンセットで引き上げた部分はすでにナイロンになっていますが、引き上げると新しい境界面ができ、そこでまた瞬時にナイロンが合成される……。だから、まるで無限のように糸が出てくるわけですね。
本来は高校の化学で扱う内容ですが、目の前で物質が変わる様子はインパクト抜群で、中学生から十分に楽しめる素晴らしい実験でした!
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