家で飛ばせる熱気球!15分でできる小型熱気球の作り方(浮力の仕組みを体験する簡単実験)

ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。

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みなさんは、あの大きな気球に乗って、大空を自由に旅する夢を見たことはありませんか?私はまだその夢を叶えられていないのですが、以前北海道を訪れた際、偶然にも空を見上げると、色とりどりの気球が次々と大空へと舞い上がっていく、息をのむような光景に出くわしました。まるで絵本の中から飛び出してきたかのようなその美しい眺めは、今でも私の心に深く刻まれています。

そんな感動を胸に、ある日、私は理科教室で生徒たちと一緒に、空飛ぶ夢を形にしてみることにしました!もちろん、人が乗り込めるような巨大な気球ではありません。今回挑戦したのは、家庭でも手軽に作れるミニサイズの熱気球です。熱気球が空に浮かぶのは、高校の物理や大学の熱力学の問題で頻繁に登場する「浮力」の原理が深く関わっています。この奥深い科学の原理を、ただ教科書で学ぶだけでなく、実際に自分たちの手で気球を飛ばすことで、その不思議な力を肌で感じてみようという試みです。

「気球を飛ばすなんて難しそう…」と思うかもしれませんね。でも、ご安心ください!実はこの実験、驚くほど簡単なんです。ちょっとした身近な材料と、ほんの少しの工夫があれば、誰でも気軽に熱気球の浮力を体験し、空に浮かぶ感動を味わうことができます。今回は、私たちが参考にした動画を基に、このミニ熱気球の作り方から、ドキドキの打ち上げ方まで、準備から打ち上げまでの手順を詳しくご紹介します。

さあ、一緒に科学の力で、空飛ぶ夢を現実のものにしてみましょう!

科学のレシピ:身近な材料で熱気球を飛ばそう!

この実験で用意するものは、どれもホームセンターやスーパー、薬局などで手に入るものばかりです。安全に配慮し、必ず大人の方と一緒に実験を行いましょう。

用意するもの:

  • 40リットルのゴミ袋(透明または半透明の薄手のもの): これが気球の本体になります。なるべく軽くて、熱に強い素材を選びましょう。
  • セロテープ: 部品を固定するのに使います。
  • エナメル線(40cm × 4本): ゴンドラを吊り下げるための骨組みになります。熱に強く、加工しやすいものが適しています。
  • スポイト: エタノールを計量し、脱脂綿に染み込ませるのに使います。
  • エタノール: 燃料になります。薬局などで手に入る消毒用エタノールで十分です。引火性があるので、取り扱いには十分注意してください。
  • チャッカマン: 燃料に火をつけるために使います。
  • 脱脂綿: エタノールを染み込ませて燃料とする部分です。
  • アルミ箔(25cm × 25cm): 燃料を置くゴンドラ(燃焼皿)を作ります。
  • ニッパ: エナメル線を切るのに使います。
  • 楊枝(または細い棒): アルミ箔に穴を開けるのに使います。

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実験手順:

  1. アルミ箔でゴンドラ(燃焼皿)を作る: 25cm×25cmの正方形のアルミ箔を使い、小さな箱状のゴンドラを作ります。これは、燃料となる脱脂綿を置く燃焼皿の役割を果たします。
  2. ゴンドラにエナメル線を通す: 作ったゴンドラの四隅に、楊枝などの細い棒を使って小さな穴を開けます。そこに40cmのエナメル線を1本ずつ通し、ゴンドラの底でねじって固定します。この時、セロテープは使わないでください。後で燃料に火をつけると、熱で溶けてしまう可能性があります。
  3. ゴミ袋にエナメル線を取り付ける: ゴミ袋の口に近い四隅に、セロテープでエナメル線のもう一方の端をしっかりと固定します。この時、ゴンドラがゴミ袋の真下で水平になるように、エナメル線の長さを調整してください。これが気球の骨組みとなり、ゴンドラを安定させます。
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  4. ゴンドラに燃料をセットする: ゴンドラの中に脱脂綿を入れ、スポイトを使ってエタノールを染み込ませます。今回は8mL(4mLを2回に分けて)入れました。エタノールが多すぎると燃焼時間が長くなりすぎたり、火力が強くなりすぎたりするので注意が必要です。
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  5. いよいよ打ち上げ!命綱を忘れずに! 打ち上げる前に、必ず濡れ雑巾を用意し、消火の準備をしておきましょう。そして、この実験は必ず大人の方と一緒に行ってください。 打ち上げる場所は、室内で、燃えやすいものがない床の上を選び、換気扇などは消して風のない状態にしてください。 ゴミ袋に炎が燃え移らないように、ゴミ袋の入口を二人で広げ、脱脂綿にチャッカマンで火をつけます。エタノールが燃焼し始めると、ゴミ袋の中の空気が温められ、膨らみ始めます。

「もう浮きそうだな!」と感じたら、ゴミ袋の入口を持っている人はゆっくりと手を離します。

このミニ気球には、必ず「命綱」を取り付けて操作しましょう。もし炎がゴミ袋に移りそうになったり、気球が傾いて危険だと感じたりしたら、すぐに命綱を引いて気球を回収し、用意しておいた濡れ雑巾で火を包んで消火してください。スクリーンショット 2016-05-18 5.39.13

ふわふわと気球が浮き上がると、きっと大きな歓声があがることでしょう!温められた空気が周りの空気よりも軽くなることによって生じる「浮力」を、まさに肌で感じられる瞬間です。この感動を、ぜひご自宅でお子さんと一緒に体験してみてくださいね。

「浮きそうだな!」と思ったら、入口を持っている人は手を離します。

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