水面が「鏡」に! ワニが教えてくれる光の魔法「全反射」の秘密

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

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突然ですが、クイズです。これは何でしょうか??

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鏡…のようですが、水面がゆらゆらしていますね。 第2ヒントです。

これですこれ!

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何か、鏡の上から顔を出しています。 もうお分かりですね?

答えはこちら。

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そう、ワニです!

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上からは水中の体までしっかり見えているのに、、、

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水の中から見上げると、外(水の上)が見えません。鏡のようにうつっていますね。

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水面が「鏡」になる? 光の魔法「全反射」

もう一度ワニを見てみましょう。

上から。

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下(水中)から。

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まるで水面が鏡のようになっていて、水面の上にあるはずのカメやワニの顔がまったく見えません。水中にいる仲間の姿だけが、水面に映っています。

これは、物理で学ぶ「全反射(ぜんはんしゃ)」という現象です。

光は、水中から空気中へ出るとき、まっすぐは進まずに折れ曲がります(これを「屈折」といいます)。 しかし、水中から水面を見上げる角度が浅くなると、光は空気中へ出ることができなくなり、すべて(100%)水の中へはね返ってきてしまうのです。

これが「全反射」の正体です。 このとき、水面は光をすべてはね返す、完璧な「鏡」としてふるまいます。

ワニの写真では、水中にいる私たちが水面を見上げているのと同じです。ワニの顔やカメがいる「外の世界」からの光は水中に入ってこられず、水面が鏡となって水中の様子を映しているため、あのように見えるのです。

「全反射」はどこで見られる?

この動物たちは、伊豆にあるiZooで撮影したのですが、もっと身近なところでおすすめなのが、すみだ水族館のペンギン水槽です。このペンギン水槽は巨大で、上から見たり、水槽の下から見上げたり、ペンギンをいろいろな角度から見ることができます。下から見上げたとき、水面が鏡のようになって、ペンギンが「空(水面)」を泳いでいるように見える瞬間は、まさに全反射の世界です!

水族館で物理学!ペンギンは水のマドから覗いていた。ぼくたちを。

インターネットも「全反射」のおかげ?

実はこの全反射、水族館だけの現象ではありません。 私たちが今、こうしてインターネットを見ている「光ファイバー」も、まったく同じ原理を使っています。光ファイバーは、光の信号をものすごい速さで届けるための、細いガラスの繊維です。光は、この繊維の中を全反射をくり返しながら進んでいきます。光が外に漏れ出さずに、繊維の壁に100%はね返りながらジグザグに進むからこそ、遠くまで速く情報を届けることができるのです。

ワニが水面で見えなくなる不思議な現象と、インターネットが高速な理由は、同じ「全反射」という科学でつながっていたんですね!科学は身近なところにある!いろいろ探してみてくださいね。

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