授業の「引き出し」が満載! 現場教師が選ぶ「物理の可視化」実験レポート!(ナリカサイエンスアカデミー)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

日々の授業準備、本当にお疲れ様です。 物理の抽象的な概念—例えば「電場」や「半減期」—を、どうすれば生徒の「わかった!」という輝く目に変えられるか、常に頭を悩ませていらっしゃるのではないでしょうか。

本日は、先日開催したナリカサイエンスアカデミー(NSA)のワークショップの熱気と、その「秘密」をお伝えします。参加者の9割がリピーターという驚異の満足度の裏には、先生方の「明日からの授業」を劇的に変える、本質を突いた実験の数々がありました。

ナリカサイエンスアカデミー

※ なお詳しい内容や補足については後日まとめたいと思いますが、まずはダイジェストでご紹介します。

「目に見えないもの」を、どう「可視化」するか?

今回のワークショップの大きな柱は、物理、特に電磁気学の「可視化」でした。生徒がつまずきやすい「電場」や「電流」を、いかに直感的に理解させるか。そのためのアイデアを多数共有しました。

  • バンデグラフを使った電場の演示実験:静電気の力(電場)が、いかに空間に影響を与えているかをダイナミックに示します。生徒から歓声が上がる定番ですが、その見せ方にも工夫があります。
  • お弁当のフタで電場と電位をイメージ:高価な器具がなくても、身近なもので「電位の坂」を直感的にモデル化するアナログな工夫も。
  • 地球ゴマと渦電流の実験:一見、力学的な遊びに見えるコマが、強力な「見えないブレーキ」(渦電流)の存在を劇的に見せてくれます。「なぜ?」を強烈に引き出す実験です。

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「壮大な概念」を、どう「手触り」にするか?

スケールが大きすぎる(地磁気)か、確率的すぎる(半減期)現象も、モデル化することで「手触り」のある理解につなげられます。

  • 半減期のモデル実験:「個々(の原子)はランダムだが、集団(マクロ)では規則的な減少が見られる」という物理の本質を、サイコロやビーズを使ってシミュレーションします。
  • 鉄の杭と地磁気の実験:普段意識することのない「地磁気」が、ただの鉄の杭を強力な磁石に変える様子を観察。我々が巨大な磁石の上に立っていることを実感させます。

ICTの活用からアナログな工夫まで

さらに、現代の授業に欠かせないICTの活用も重要なテーマです。

  • ブレッドボードを用いたお手軽回路実験:ハンダ付け不要で、生徒が「試行錯誤」できる回路実験。失敗から学べる環境を手軽に作れます。
  • イージーセンスを使った電流の可視化実験:「流れているはず」の電流や電圧の変化を、リアルタイムでグラフ化。目に見えない現象が「データ」として現れる瞬間です。
  • ICTの活用の紹介:センサー機器だけでなく、シミュレーションソフトや動画教材をどのタイミングで授業に投下するか、その教育的効果についても議論しました。

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他にもたくさん用意をしたものがあったのですが、先生方の熱意と議論が盛り上がり、消化し切ることができませんでした。参加していただいた方、すみません!また次年度に向けて、さらにブラッシュアップした構成で、先生方の「明日からの授業」に役立つネタを紹介していきたいと思います。

熱気の証—アンケート結果(リピーター率9割!)

なによりも嬉しかったのは、参加されている方のおよそ9割がリピーターの方であったことです。先生方が現場で試し、その手応えを感じて、また次の「武器」を探しに来てくださっている…この好循環こそが、我々の活動の原動力です。

その熱意を反映したアンケート結果がこちらです。

本日のワークショップはいかがでしたか?

大変良かった 8名

よかった 0名

期待していたほどではなかった 0名

(満場一致の「大変良かった」に、感謝しかありません!)

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