水槽のブクブクの正体は「電磁石」だった!エアポンプ分解でわかる交流の仕組み
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
ブブブブブブ……。生物室の水槽のそばで、休むことなく音を立て続ける小さな機械をご存知でしょうか。そう、金魚やウーパールーパーの水槽に酸素を送り込む「エアポンプ」です。
見た目はただの黒いプラスチックの箱。ですが、この中身、いったいどうなっているのか気になったことはありませんか?実はこの小さな箱の中に、中学校の理科で習う知識がぎゅっと詰まっていたのです。
エアポンプを開けてみたらまさかのアレが!
今回どうしても気になってしまったのは、水槽のわきでぶくぶくと空気を送り出し続けているエアポンプでした。いったいどうやって空気を送り出しているのだろう?見た目はいたってシンプルで、複雑な仕組みが入っているようには見えません。コンセントに直接差し込むタイプで、電池ではなく家庭用の交流電源で動いているようです。
箱の中を開けてみると、そこには予想以上にシンプルな仕組みが姿が現れました。
これが分解した中身です。
予想していたような複雑な電子部品は、どこにも見当たりません。「あれ、これだけ?」と拍子抜けするほどのシンプルさです。実際に動いている様子は、こちらの動画でご覧いただけます。
「ああ、そういうことか!」
中身をよく見ていくと、謎が解けてきました。下側には鉄の芯があり、そこにコイルが巻きつけられています。よく観察すると、このコイルに家庭のコンセントから直接電流が流れ込んでいました。

交流電流が生み出す小刻みな振動の正体
コイルの上には、T字型の金具が取り付けられていました。この金具のポイントは、永久磁石がくっついているという点です。
ここまでくれば、種明かしはもうすぐです。
コイルに交流電流が流れると、鉄の芯はたちまち電磁石に早変わりします。しかも交流電流ですから、N極とS極がころころと入れ替わり続けます。すると、T字型の金具についている永久磁石がその変化に振り回され、右へ左へとブルブル細かく振動するのです。

このT字型の金具が左右に揺れ動くことで、両サイドにあるポンプ部分が交互に押され、下の管から空気が押し出される仕組みになっていたのです。分解して調べてみたところ、この金具の先についている永久磁石は、左側の下面がS極、右側がN極になっていました。
コイルには家庭用電源からそのまま100V・50Hzの交流電流が流れ込みます。つまり1秒間に電流の向きが50回も入れ替わるということ。この超高速の切り替わりが、そのままT字型金具の振動になっていたのですね。
東西で違う電源周波数が生む面白い違い
これは実に面白い発見でした。実は日本の電源周波数は東と西で異なっており、関東は50Hz、関西は60Hzです。ということは、もし関西でこのエアポンプを使ったら、コイルの磁極が切り替わるスピードも1秒間に60回とより速くなり、振動のリズムも変わってくるはずです。
同じ製品でも、住む場所によって微妙に違う動きをしているかもしれないと思うと、なんだかワクワクしませんか。
さらに鉄の芯をよく観察すると、一枚の板ではなく、薄い鉄板が何枚も重なった層状の構造になっていることに気づきました。
拡大!
これは、電磁石として働くときに発生してしまう渦電流による無駄な発熱を防ぐための工夫です。鉄の芯を薄い板の重なりにすることで、渦電流の通り道を細かく分断し、エネルギーのロスを最小限に抑えているのですね。
小さなエアポンプ一つの中にも、発熱を防ぐ設計者の知恵がしっかりと詰め込まれていました。
こうして分解してみると、教科書の中でバラバラに習っていた「電磁石」「交流」「渦電流」といった知識が、一つの身近な道具の中でしっかりとつながっていることが実感できました。
これはまさに理科の授業にぴったりの教材です。もし古くなったエアポンプがご自宅に眠っていたら、ぜひ分解して中をのぞいてみてくださいね。きっと新しい発見があるはずです。
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