劣る?優る!動画講義がリアル講義を超えるための機能
動画講義はリアルに劣るのか?
そう大多数の人が思う中、
実践者の田原先生は「違う」といった。
そのヒミツをまとめました。
第3回反転授業オンライン研究会に行ってきた!
先週の金曜日に、反転授業オンライン研究会の3回目が開かれました。
ちょうど職場の近くであったため、仕事をしたあとに行ってきました。
今回のテーマは反転授業における動画作成についてです。
動画作成以外にも、いろいろな盛り上がりのテーマがあったのですが、
今回は反転授業をやりたいと思っている方が多いだろうし、
ぼくもそう思って準備をはじめはじめたので、
動画作成にポイントをしぼって紹介します。
※ もちろん今回の講演者の田原先生は動画作成以外のことについても
触れられていました。
動画作成の実践者、ネット予備校田原先生の登壇
とうとう、田原先生がリアルの場に現れました。
田原先生とは反転授業の研究というブログや、facebookグループを運営されいる方です。
予備校講師を経験されて、現在はネット予備校(phys-com)を運営されています。
ネット予備校では当然ながら動画の講義映像も使っているので、
動画作成において、田原先生はプロフェッショナルというか先駆者であるわけです。
ぼくは第2回のときに発表をさせていただいたのですが、
そのときに発表の数日前にスカイプで打合せをしました。
そのときにきいたこの言葉が心に残っていました。
「10年位やっていると、ここで落ちを入れて、ここで説明して・・・と全てが
頭の中に入っているようになってきた。
このとき、このまま続けていくのではなくて、何かをやらないとと思ってきた。」
といっていました。
その「何か」の実践してきたものがこの場で語られました。
「何か」の中にはスゴイものが隠れていた!
田原先生は予備校で繰り返しやっている「講義部分」を
動画のコンテンツとしてまとめていったそうです。
そしてリアルで働く講師と同時に、オンラインでネット予備校をスタートさせます。
ただ当初、田原先生自身は、動画はリアルよりは質が落ちると感じていたそうです。
ぼくもなんとなくそう思います。
動画だと生徒と目線をあわせるのが難しいし、緊張感を保たせるのも難しそうですよね。
しかしそれが違ったというです!!
その鍵が田原先生が動画作成で使われていたスクリーンキャスト動画を作るための
ソフト開発者の三上さんがつけた機能、「倍速機能」にあったとのことです。
倍速機能!なにそれ!
「スクリーンキャスト」という言葉は、ぼくも最近知ったのですが(汗)
黒板だけが画面に写るような動画の作り方です。
例えばぼくが昨日作って公開したこちらのようなものです。
スクリーンキャストの特徴は、講師の顔が見えないという弱点がありつつも、
そのため講義自体に集中できるところにあるのだそうです。
また講義を作るときの作る側の手間もかなりかかりません(自分が映らないので、
特別な格好をしなくてもよいなど・・・)
「2倍で講義を聞くなんて無理ではないのか?」
「あえて作った「間」などが飛ばされて、意図したことが伝わるのか?」
田原先生もはじめは懐疑的だったそうです。
しかし「倍速機能」を導入してみて、
ネット予備校の受講生とリアルな場でオフ会を開いた時に、
受講生から、
「等速の田原先生は違和感がある。」
とか
「(リアルの先生は)声が低い」
とか言われたそうです。この話を田原先生がされたとき、
会場の皆が思わず笑ってしまいました。
そんなことを言われても・・・ですよね〜。
そしてぼくもさっそく先日2倍速を体験してみたのですが、
「たしかに慣れる!」
ぼくの作ったもので比較できる動画をこちらに公開したので、視聴してみてください。
人間の集中力の限界は15分説は本当か?
よく講義動画を作るときにその長さが問題になります。
15分までが最長の長さだとか言われていたりするそうですが、
田原先生はそれを余裕で超えて60分とかそれ以上の動画を沢山作っていたそうです。
これはまずい!と思ったそうですが、でも実際に多くの受講生が
それらの動画を見ているという事実があります。
それはもしかしたら倍速機能に鍵があるのではないかとの分析が
すごい面白かった!
理解のスピード調節、それが倍速機能の本質だった!
どういうことかというと、人には理解のスピードがありますよね。
理解のスピードが自分にあっていないと、
これが15分続くと、人間はストレスにたえられなくなる。
ストレスになって、動画を途中で投げ出してしまいます。
しかしこのペースが自分にあっていて、シンクロできていれば、
15分をこえても大丈夫なのではないか、
そして倍速機能がついていれば、理解できているところは速く、
理解できないところは、ゆっくりとと、理解のスピード調整が
受講生側に握られている!
教える側ではなく、個別の生徒の手の中にある。
これは実はリアルな場ではどうしてもできません。
ぼくたち教師がそうだと思うのですが、教えるときは集団の平均の
ちょっと下を狙って講義をしています(よね?または上?)
このとき上下の生徒は講義がつまらない可能性が多いにあります。
しかし動画講義の特徴は、生徒自身で理解のスピードの上げ下げが可能になっている。
これがポイントなのではないかと田原先生が言っていたのが衝撃的でした。
確かに!!
そして短い動画が良しとされがちですが、たしかに見るときの壁が低く見せやすいのですが、
その弱点もあります。それは知識が断片的にならざる負えないということにあるとのことでした。
ですから短い動画を見せるときには、その動画がどんな位置づけにあるのかを
生徒に知らせる必要があるとのことです。
以上です。いろいろありましたが、ぼくは動画作成についてのみご紹介しました。
参加されていた鈴木先生が全体にまとめてレポートを作ってくれています。
全体が知りたい方はそちらでどうぞ。
そしてぼくは動画を作り始めました。
こちらの動画は短めのものを用意しました。
狙いは、
・生徒がスマートフォンで見られるようにすること、つまり文字の大きさを大きく撮影することと
です。
これからはスマートフォンの時代がやってきそうです。
生徒が電車や自宅でちょっと復習できるような動画教材をとりあえず50個作ります。
50個つくったあとに、作り方は何がベストなのか、時間はどうなのか、それを検討して、
実践をしてから田原先生の今回の講演をもう一度振り返りたいと思います。
きっとやってみて違う世界が見えてくるでしょうね。
次回は自分が動画講義を創るときにつかっているツールについて紹介しますね。
次に読みたい記事
田原先生のサイトは今後も必見です。
やはり倍速動画の記事は見ておいてほしいと思います。
今後の教育はどちらに向かうのか?
反転授業が正解なのかとは、現場としては実はぼくは思っていないのですが、
とにかくやりながらベストミックスを考えていきたいと思っています。
それを考えるのに良い本はこれらの本です。
日本のICT教育にもの申す!
MOOC ―大学の革命―
日経BP社
科学のネタ帳オン