スマホがハイスピードカメラに!? 自宅で撮れる「時を止める」水風船アート(完成の法則)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

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「時間よ、止まれ!」――映画やアニメの世界ではよくあるこのセリフ、現実ではありえないとわかっていても、思わず願ってしまう瞬間ってありませんか?実は、私たちの身近にあるスマートフォンを使えば、ほんの一瞬だけ、まるで時を止めたかのような摩訶不思議な光景を捉えることができるんです。

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理科の教科書や資料集で、こんな写真を見たことはありませんか? 割れた風船の形を保ったまま、水がふわりと宙に浮かぶ奇跡の一枚。これは、物理学における「慣性の法則」が織りなすアートです。

急ブレーキをかけたバスの中で、体が前にぐっと持っていかれる…あの感覚、あれこそが「慣性」です。物体は、外から力が加わらない限り、「今の状態を続けよう」とします。

この写真では、風船が針で割られて一瞬で消え去っても、中にあった水は「え、僕まだ風船の中にいるはずじゃ…?」と、その場にとどまり続けようとするのです。そのコンマ数秒の”勘違い”が、この美しい水の彫刻を生み出します。

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このナリカさんのカタログ表紙、息をのむほど美しいですよね。でも、「こんなの特殊なハイスピードカメラがないと撮れないんでしょ?」と思いますよね。私もそうでした。でも…「やってみなけりゃわからない!」が科学の合言葉!

手元のiPhoneだけで、この感動の瞬間にどこまで迫れるのか。挑戦してみたところ…驚きの映像が撮れてしまったのです!ぜひ、ご覧ください。

プロの写真には及ばなくても、思わず「おおっ!」と声が漏れるほどの感動が、そこにありました。さあ、次はあなたの番です!

科学のレシピ:スマホで捉える「水と慣性の彫刻」

ご家庭で簡単にできる、科学とアートの実験です。ぜひ安全に気をつけて挑戦してみてください。

【用意するもの】

風船

針(先の尖ったもの)

スマートフォン(iPhoneやiPadなど)

水槽やバケツ(水浸しにならないように!⚠️)

【手順】
① 準備は慎重に
風船に水を入れ、口をしっかり結びます。下に水槽を置き、いつでも割れるように針を構えましょう。

② カメラを構える
撮影ボタンに指を置きます。ドキドキする瞬間です…!スローモードで撮ると良いでしょう。

③ いざ、時を止めよ!
アプリの撮影ボタンを押すと同時に、風船を針で突きます!ためらわずに、一気にいきましょう!

結果:スマホの中に生まれた、一瞬のアート

さあ、撮影した写真を見てみましょう。きっと、こんな一枚が撮れているはずです!

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どうですか?あの教科書で見た写真と、そっくりだと思いませんか?普通のスマートフォンのカメラで、ここまで物理法則を鮮明に切り取れるなんて、驚きですよね!

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この実験を生徒たちの目の前でやってみると、ほとんどの子が口をあんぐりと開けて、一瞬の静寂のあと、「うわー!」という歓声を上げます。頭で「慣性の法則」と理解していることと、目の前でその現象を体感することの間には、天と地ほどの差があります。知識が感動に変わる瞬間、それこそが科学の醍醐味です。

ぜひ、ご家族やお友達と一緒に、この科学マジックに挑戦してみてください。きっと、忘れられない一瞬が撮れるはずです。

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