身近なアルミ箔で実感!「電流と磁界の力」驚きの瞬間を体験しよう!

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

電流が磁場から受ける力の実験、この実験は、目には見えない電流の働きが、磁界という別の目に見えない力と相互作用することで、物体を動かすという非常に示示唆に富む現象を目の当たりにできる貴重な機会です。今回は、身近な材料を使って手軽にできる、アルミ箔を用いた実験方法を紹介います。

電流が磁界(磁場)から受ける力について実験する際、大がかりな装置は必要ありません。実は、身近な材料を使って、生徒たちがこの不思議な現象を目の当たりにできる、とても手軽な方法があるんです。

必要なもの

  • アルミ箔(幅25cm程度のもの):家庭用の一般的なアルミ箔で十分です。
  • ハサミ:アルミ箔をカットするために使います。
  • 定規:アルミ箔をまっすぐに切るためにあると便利です。
  • セロハンテープや両面テープ:アルミ箔を机に固定するために使います。
  • 直流電源または乾電池:電流を流すために必要です。乾電池を使う場合は、単1形や単2形を複数個直列につなぐと良いでしょう。
  • リード線(クリップ付き):電源とアルミ箔をつなぐために使います。
  • 電流計(推奨):流れる電流の大きさを確認するためにあると良いです。
  • ネオジム磁石など強力な磁石:磁界を作るために使います。蹄形磁石でも代用できます。

実験手順

  1. アルミ箔をカットする: 幅25cmのアルミ箔を、1.5cm幅に細長く切ります。授業で使う枚数分準備しましょう。
  2. 机に固定する: カットしたアルミ箔を机の上に置き、両端をセロハンテープや両面テープでしっかりと固定します。机に貼り付ける際は、たるみがないようにピンと張るのがポイントです。
  3. アルミ箔をねじる: 貼り付けたアルミ箔の中央部分を、指で軽くねじって丸めます。このねじった部分に電流が流れることで、磁界から力を受けて動く様子を観察しやすくします。
  4. 回路を組む: 直流電源(または乾電池)のプラス極とマイナス極にそれぞれリード線を接続します。リード線のもう一方の端を、机に固定したアルミ箔の両端にクリップなどで接続します。このとき、電流計を直列につなぐと、流れる電流の大きさを確認できます。
  5. 磁石を配置する: ねじったアルミ箔の真上または真下に、ネオジム磁石などの強力な磁石を配置します。磁石のN極とS極の向きによって、アルミ箔が動く方向が変わることを生徒に示唆しても面白いでしょう。
  6. 電流を流す!: 電源のスイッチを入れ、1A〜4Aの範囲で電流を流します。このとき、電流を流し続けないように注意することが非常に重要です。アルミ箔が発熱したり、電源に負担がかかったりする可能性があります。一瞬だけ流して、アルミ箔の動きを確認したらすぐに電流を止めましょう。
  7. 動きを観察する: 電流を流すと、アルミ箔のねじった部分がブルッと動くのが観察できます。この動きこそが、電流が磁界から受ける力(ローレンツ力)の証拠です。
  8. 発展実験:
    • 流す電流の大きさを変えて、動き方の違いを比較する。
    • 磁石のN極とS極を入れ替えて、アルミ箔が動く方向の変化を観察する。
    • 磁石を近づけたり遠ざけたりして、磁界の強さと力の関係を考察する。

プリントで使える画像教材です。もしよろしければご利用ください。

なぜ動く?実験から学ぶ科学の原理

この実験でアルミ箔が動くのは、電流が磁界から力を受けるという現象によるものです。

電流とは、電荷(電子など)の流れのことです。そして、磁界は磁石の周りにできる空間で、磁石が力を及ぼす場です。電流が磁界の中を流れると、その電荷の動きが磁界と相互作用し、「ローレンツ力」と呼ばれる力を受けます。この力が、アルミ箔を動かす原因となっているのです。これは「フレミングの左手の法則」で説明されます。親指、人差し指、中指をそれぞれ直角に立てたとき、人差し指を磁界の向き、中指を電流の向きに合わせると、親指が力の向きを示します。この法則を生徒たちに紹介することで、力の向きを予測したり、観察結果と照らし合わせたりする活動につなげることができます。

この実験は、モーターの原理や電磁誘導といった、より発展的な内容を学ぶ上での基礎となります。生徒たちが「なぜ動くのだろう?」と疑問を持ち、その疑問を解決しようとすることで、科学的な思考力や探求心を育むことができるでしょう。

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