光合成の「現場」を顕微鏡でのぞいてみた!〜オオカナダモの葉でデンプンを探す〜

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

植物は光を使ってデンプンを作る。そう教科書には書いてありますが、「本当に?」と思いませんか?今回はその「現場」を実際に目で確かめる実験を行いました。顕微鏡をのぞいたとき、葉の中の小さな粒がくっきりと黒く染まる瞬間は、思わず「おお!」と声が出るほどです。

用意するもの

顕微鏡、オオカナダモ、スライドガラス、カバーガラス、ピンセット、ヨウ素液、電気鍋、ライト

実験の準備〜光を「あてた葉」と「あてない葉」を用意する〜

実験では、条件の異なる2種類の葉を用意しました。オオカナダモは実験1.5日前に採取しました。そして1.5日間暗室に置いた葉を用意しました。光を完全に遮断することで、葉の中のデンプンをできるだけ使い切らせるためです。

棚の中に入れて光を遮りました。

もうひとつは、1.5日、人工的な光をあてて、しっかり光合成をさせた葉です。この「光をあてた・あてない」という条件の差が、実験の肝になります。使用したライトはこちらです。(植物育成用ライト(amazon))

このライトは植物の光合成専用のものです。指導書には赤外線(波長の長い光)をあてた方が良いと書かれています。波長が長い光の方が効果的なのはなぜでしょう? 実は光合成には「光化学系I」と「光化学系II」という2つの反応システムがあり、それぞれが吸収しやすい光の波長が少し異なります。特に遠赤色光(700nm付近)は光化学系Iを効率よく動かすと言われています。

オオカナダモ特有の話なのか、それとも植物全般に言えることなのか。もしご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。

葉を茹でる〜なぜ茹でるの?〜

用意した葉を電気鍋で5分茹でました。電気鍋、大活躍です。

「なぜ茹でるの?」と思った方、鋭いです。茹でることで葉の細胞が壊れ、ヨウ素液が細胞の中まで浸み込みやすくなります。また、葉が柔らかくなることで観察もしやすくなります。アルミの容器を2つ用意して、一方に日をあてた葉、もう一方に暗室の葉を入れて区別しながら処理しました。

ヨウ素液で染める〜デンプンの「ありか」を探せ〜

茹で上がった葉をピンセットで1枚取り出し、スライドガラスに乗せてキッチンペーパーで水気を切ります。そしてヨウ素液をかけて約1分待ちました。その後カバーガラスをかけて、顕微鏡で観察しました。ヨウ素液はデンプンに反応して青紫色〜黒色に変わる性質を持っています。これを「ヨウ素デンプン反応」といいます。つまり、黒く染まった部分にはデンプンがある、ということです。

まずはヨウ素液をかけないで観察をしてみました。スライドガラスにのせて、カバーガラスをかけて観察しました。


拡大してみると、

葉緑体と見られるものは染まっていません。

次にヨウ素液をかけたものを観察しました。こちらは暗室に置いたものです。

次に光を当て続けた方です。

拡大すると、

黒く染まっているのは、葉の細胞の中にある葉緑体です。そうです、光合成が起こる「現場」は、この葉緑体だったのです。比較してみましょう。

葉緑体の染まり方に違いが見られます。葉緑体は植物細胞だけに存在する、緑色の小さな粒です。ここで光エネルギーを使って水と二酸化炭素からデンプン(糖)と酸素が作られます。今回の実験では、光をあてた葉の葉緑体だけがヨウ素液で黒く染まり、暗室の葉は染まりませんでした。この結果から、光合成はまさに葉緑体の中で行われていることが、目で見て確かめられました。

顕微鏡でのぞいた葉緑体の黒い粒。あの小さな場所で、太陽の光を使って地球上のほぼすべての生き物が利用できるエネルギーの源が作られています。私たちが食べているごはんのデンプンも、植物が光合成で作り出したものです。葉緑体は、地球の生命を支える小さな工場とも言えますね。ぜひ皆さんも、顕微鏡で「光合成の現場」をのぞいてみてください。

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