ディズニーに理科の視点を!フーコーの振り子と“地球の自転”を見に行こう(ディズニーランド物理学)

桑子研
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ディズニーに理科の視点を!フーコーの振り子と“地球の自転”を見に行こう

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探究活動の一環で、昨年「ディズにラーンド研究会」という講座を生徒と共に実施しました。これはディズニーランドをさまざまな視点から探究していく講座で、文化、経済、デザイン、心理学…とバラエティに富んだテーマが並ぶ中、私は「理科的視点での体験」を持ち込んでみました。

たとえば、ジェットコースターに加速度計を持ち込み、加速度やGの変化を記録する実験。これはまさに力学の応用であり、「重力」「遠心力」「速度と加速度の関係」を実感することができる、最高の教材体験でした。生徒たちは文化的・社会的側面に注目する傾向が強かったのですが、実はディズニーには理科的な見どころもたくさんあるのです。そのなかでも、特に**“気づきにくいけれど、本物の理科が詰まっている”**展示のひとつがこちらです。

◆ ディズニーシーの「フォーレスト・エクスプロレーション」にある“あの展示”

ディズニーシーの**「フォーレスト・エクスプロレーション・トレイル」**は、自然の中を探検しながら科学や探究の精神に触れられる展示が点在するコーナー。その中にひっそりと佇むのが、「フーコーの振り子」です。

…とはいえ、展示名には「フーコー振り子」とは明記されていません。代わりに、こう記された看板が設置されています:

「偉大なるイタリアの天文学者、数学者、そして物理学者であるガリレオ・ガリレイは、振り子の振動の周期は振幅の大きさにかかわらず、一定であるという性質を発見した。またガリレオは近い将来、時間の計測において、振り子の性質が大いに役立つことになるだろうと述べている。」

この紹介にガリレオの名前を出しつつ、展示内容は明らかにフーコーの振り子そのもの。天井から吊られた長いワイヤーの先に重りがあり、地面にはドミノが円形に並んでいます。振り子は一定のリズムで揺れ続け、時間の経過とともに1つずつドミノを倒していく構造になっています。

◆ フーコーの振り子とは?

簡単におさらいすると、「フーコーの振り子」は1851年にレオン・フーコーによって発表された装置で、地球の自転を視覚的に証明するものです。

• 振り子は慣性で一定方向に振れ続ける。
• 地球が自転しているため、振り子が揺れる「地面の方向」が徐々に変化していくように見える。
• つまり、振り子の向きが変わっているように見えるのは、地球が回っているからという理屈です。

この仕組みをうまく活かし、ドミノが倒れていく様子でその“変化の過程”を見える化しているのが、ディズニーシーのこの展示です。

◆ 実験装置としての精度とメンテナンスに感動

この写真は午前10時26分に撮影したものです。すでに数個のドミノが倒れており、日中ずっと稼働していることがわかります。おそらく、毎朝スタッフがセットしているのでしょう。倒れたドミノを戻すだけでも手間がかかるはず。「学生時代にこの装置のセット作業のバイトがあったら、絶対やってたのに」と思わずにはいられませんでした。理科教師目線でも、構造・機能・観察ポイントがよく考えられており、教材としても一級品のクオリティです。

この展示は、学校での授業にもつなげることができます。

【授業例:地球の自転の証拠】
• 単元:「地球と宇宙」「地球の自転と日周運動」
• 導入:プラネタリウムや日の出の方位とあわせて
• 展開:動画や写真でフーコー振り子を紹介
• 発展:なぜ振り子の方向が変わるのか?観察地点の緯度と回転角の関係を調べる

【補足教材】
• 実験装置が学校にない場合でも、3DCGやシミュレーションで再現可
• 探究活動として「学校でフーコーの振り子を作る」を課題にするのも面白い

ディズニーリゾートには、エンターテインメントだけでなく**“科学の種”が隠れている展示**がたくさんあります。このフーコーの振り子のように、楽しみながら地球の不思議に出会える体験は、学びと感動を同時にくれる教材として、非常に魅力的です。もしディズニーシーを訪れる機会があれば、「理科の目」で探検してみてください。きっと、生徒とも共有したくなる科学が見つかりますよ。

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