ドライアイスで「見える空気砲」!牛乳パックでできる!~煙のリングが部屋を舞う~
「空気砲」と聞いて、多くは「なんとなく空気を飛ばすやつ…?」という程度かもしれません。でも実際に“空気の動き”が目で見えるようになったとき、とっても不思議で驚く現象なんですよ。今回は、空気の流れを可視化する実験として最適な「ドライアイスを使った空気砲」の授業アイデアをご紹介します。
牛乳パックとドライアイスという身近な素材を使って、まるで忍者のように現れる煙のリングを作り出すという、とてもシンプルながら生徒の食いつき抜群な教材です。「なぜ輪っかになるの?」「どうして飛んでいくの?」と、自然と物理への探究心が湧いてくるこの実験。準備も簡単で、理科室でも教室でも実施できます。
◆ なぜ“見える”空気砲なのか?
ダンボールの空気砲は有名ですが、空気の動きは“見えない”ため、目に見える反応(紙コップが倒れるなど)を通してしか理解できません。そこで、ドライアイスの煙を使うことで、空気の流れ自体を視覚化します。この「見える化」によって、**空気のかたまり(渦輪)**がどのように飛んでいくのか、どんなふうに消えるのかを観察でき、理解が格段に深まります。
◆ 授業準備と実験の手順
【準備物】
• 牛乳パック(1Lタイプがおすすめ)
• ドライアイス(1kgで1000円以下。氷屋さんやスーパーで入手可)
• 水槽や透明なケース(深さ20〜30cm程度)
• お湯(約40℃)
• カッター、はさみ
• 軍手 or トング(ドライアイスの取り扱い用)
【事前準備】
• ドライアイスは購入後、できるだけ早く使用。
• 氷屋さんによっては予約が必要。事前に問い合わせを。
【作り方・実験手順】
① 牛乳パックの加工
→ 上部をカットし、底に直径4〜5cmの丸い穴を開けます。
② 煙の生成装置を準備
→ 水槽に40℃程度のお湯を入れ、ドライアイスを少量入れます。
→ モクモクと白い煙(気化した二酸化炭素と水蒸気の混合物)が出てきます。
③ 牛乳パックを設置
→ パックの切り口を下、穴を上に向けて水槽の上にかぶせ、煙が中にたまるようにします。
④ 空気砲発射!
→ パックの側面を軽くトントンとたたくと、煙のリングが飛び出します!
• 空気砲の原理(空気のかたまりが穴を通って前方へ進む)を「見える現象」として理解できる点が最大のポイント。
• 煙のリングの形・大きさ・飛距離などに注目させてましょう。
• 「なぜリングになるのか?」という疑問から、渦の構造や流体の性質に自然と踏み込んでいける。
• グループでリングの安定性を競わせるなど、探究的な展開にもつなげられる。
◆ 展開例・応用
• 発展的な問い:「リングはなぜ途中で消えるのか?」「飛距離に影響する要素は?」
• 比較実験:丸穴ではなく四角にしたらどうなる?穴の大きさを変えると?煙の種類を変えたら?
• 生活とのつながり:火山の噴煙、たばこの煙、飛行機雲、スモークマシンなどとの関連づけ。
空気は“透明”だけど、力がある。その力を視覚化できるこの実験は、物理に苦手意識を持つ生徒にも効果抜群です。教室に浮かぶふわっとした煙の輪。その美しさと不思議さが、理科の魅力を一瞬で伝えてくれます。
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