記録タイマーはもう古い?Vernierアプリで運動の授業が劇的に変わる!(Vernier Video Physics)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
理科の授業で「物体の運動」を教える際、生徒にその動きをどうすれば効果的に理解させられるか、悩むことはありませんか?記録タイマーで紙テープに点を打って分析する実験は定番ですが、「一体何のためにこんなことをしているんだろう?」と首をかしげる生徒も少なくありません。
そこでおすすめしたいのが、Vernier Video Physicsというアプリを使ったビデオ解析です。このアプリを使えば、教科書や既存の教材だけでは伝えきれなかった、物体の動きの面白さや奥深さを、生徒に直感的に理解させることができます。
なぜこのアプリがそんなに優れているのか?その最大の魅力は、スマホで撮影した動画を解析し、物体の動きを自動で追跡してくれる点にあります。さらに、物体の位置(x-t)や速度(v-t)の時間変化をグラフとして瞬時に生成してくれるのです。
これはまさに、従来の記録タイマーの実験をデジタルで再現し、さらに発展させたものと言えます。記録タイマーの実験を行う前に、一度このアプリで動きを「見える化」しておくことで、生徒は「これから何をするのか」「何がわかるのか」を明確にイメージできるようになります。運動の軌跡やグラフの形が目の前でリアルタイムに表示されることで、生徒の「なぜ?」や「なるほど!」を引き出しやすくなるはずです。
授業の導入で「こんな面白いことができるんだよ!」と見せるもよし、生徒自身に身近な物体の動きを撮影・解析させて、探究活動のツールとして使うもよし。このアプリ一つで、理科の授業がぐっと楽しく、そして深くなること間違いなしです。
授業実践に役立つ!Vernier Video Physics活用ガイド
必要なもの
- Vernier Video Physics アプリがインストールされたスマートフォンまたはタブレット
- 撮影したい物体(ボール、おもり、ミニカーなど)
- 物体の運動を邪魔しない背景(単色でシンプルな壁などがおすすめ)
- 物差しやメジャー(距離の基準を定めるために必要)
動画素材を用意しました。まずはこちらからどうぞ。
実際にやってみた映像がこちらです。
使い方はとても簡単で、まず動画を撮影して、追跡したいものを設定します。今回は力学台車の上にテニスボールを乗せまいした。
そしてTrackのボタンをおすと、目標、今回であればテニスボールを追跡をしてくれます。たまに途中で見失うこともあるので、その場合は手動で一つずつコマ送りをして打ち込んでいきます。
次にx軸とy軸の位置と向きをセット、スケールもいれておくと、正確なx-tグラフを描くことができるため、ものさしなどをいっしょにとっておくと良いでしょう。
するとすぐに解析をしてくれます。負の等加速はわかりにくいですが、これならわかってくれるかも?
自由落下の実験をしてみるとこんな感じに。
v-tグラフを目視で読んで、加速度を計算してみると、
2.2/(0.60-0.36)=9.2 [m/s^2]
となります。鉛直投げ上げだとこのような感じです。
傾きから重力加速度を求めると、加速度は10m/s^2でした。記録テープでやっても9を下回ることはよくあるので、それなりだと思います。続いて2次元の落下運動についてもやってみました。
いかがでしたでしょうか。分析をしてみると…
またその他にもいろいろやってみました。
このアプリを使えば、準備も片付けも簡単。何より、生徒の「もっと知りたい!」という知的好奇心を刺激できるでしょう。ぜひ、先生方の授業に新しい風を吹き込むツールとして活用してみてください。
またこちらは、物体の運動について、ストロボ写真アプリを使って撮影をしました。それがこちらです。この写真を使って、生徒にX軸とY軸の線をひかせるなどをして解析させると面白いかもしれません。
授業で活用してみてくださいね。
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