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ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。 

摩擦帯電の仕組みについては、以前こちらにまとめました。

静電気の基礎知識と「ライデン瓶・エレキテル・百人おどし」の歴史

ただ摩擦帯電は奥が深く複雑な現象ですので、ここではもう少し丁寧にまとめておこうと思います。

仕事関数Wが大きい物質(マイナスに帯電しやすい)、仕事関数が小さい物質(プラスに帯電しやすい)を接触させておくだけで、水が流れるように電子が移動をして、帯電します。これを接触帯電といいます。

接触帯電は金属どうしだけではなく、絶縁体でも起こります。絶縁体の場合は、接触したときに移動した電気が、移動先で動けないため静電気となって残ります。帯電列が絶縁体のものばかりなのはそのような理由によります。

また帯電列は経験的に知られているものをまとめた表です。

摩擦帯電のさいに、2つの物体をこすりつけると接触面が大きくなるため、接触帯電がいろいろなところで起こり電子が移動します。そのため、物と物をこすり合わせると、静電気の電気量は増えていきます。

また摩擦帯電では、その他の要素として摩擦にともなう圧力や、摩擦をしたときに生じる熱による帯電もあります。例えば物質に圧力を加えると電気が発生する「圧電気」または「ピエゾ電気」があります。バンデグラフのゴムベルトをピンと張るとよく静電気がたまるようになりますが、これは圧力が高くなったため圧電気も関係していると考えられます。

このうように、物理のはじめに出てくる摩擦帯電はいろいろな要素があり、奥の深い現象でわからないことも多く残っている分野のようです。

参考

物理全般に興味を持った方は、拙著『高校物理復習帳』も御覧ください。

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