2000円で手に入る「時空のチケット」?ページをめくればそこはビッグバンの中心だった『痛快!宇宙論』
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
想像してみてください。もし、あのアインシュタインと一緒に宇宙を旅することができたら、どんなにワクワクするでしょうか?
私たちの住むこの広大な宇宙には、光の速さの秘密や、星が生まれる瞬間のエネルギーなど、日常では想像もつかない不思議が溢れています。でも、難しい数式や専門用語が並ぶと、つい「自分には無理かも…」と身を引いてしまいがちですよね。
しかし、今回ご紹介する本は、そんな壁を一瞬で壊してくれます。まるで一本の映画を観ているような感覚で、気がつけば最先端の物理学の世界へ放り込まれている。そんな「時空を超える冒険」を体験できる一冊をご紹介します!

ある本を書いているのですが、その編集者の方から「この本が面白かったです」と教えてもらったのがきっかけでした。
「アインシュタイン 痛快! 宇宙論」 (知のトレッキング叢書)
誰かから勧められると、好奇心が抑えきれずにすぐ手にとってしまうのが私の性分です。さっそくAmazonで注文し、届いたその日にページを開いて驚きました。たしかに面白いんです!
実は、実際に手にするまで漫画形式だとは知らなかったのですが、中身は非常に濃密。文字量が多く、読み応えがたっぷりとあるため、「一般的な漫画と新書の良いとこ取り」をしたような、これまでにない贅沢な作りの本だと感じました。
宇宙の歴史を丸ごと味わえる「贅沢なフルコース」
タイトルに「アインシュタイン」とあるので、てっきり相対性理論だけを扱っているのかと思いきや、これが良い意味で期待を裏切ってくれました。
リンゴが落ちる法則を見つけたニュートン力学から、目に見えないミクロな世界を解き明かす量子論、そして宇宙全体の成り立ちを探る宇宙論まで、物理学の歴史を網羅する幅広い話題に触れられています。その内容の濃さと練り込まれた構成を知ると、2000円という値段が安く感じるほどです(正直、買う前は少し高いかな?と思ってしまいました。笑)。
特に理科教師として唸らされたのは、この本の「見せ方」です。
ページ全体が「宇宙」を表現する驚きの演出
例えば、ビッグバンについて説明されているこのページ。コマ割りが非常にユニークなんです。

翻訳本なので、読む方向は左ページから。左上から右下へと視線を動かして読み進めますが、このページの中央には大きなぶち抜きのコマが配置されています。
一見すると大胆なレイアウトに驚きますが、実はこれ、科学的な意味が込められているんです。 左側では宇宙の始まりである「ビッグバン」が描かれ、読み進めて右側にいくと、もし重力が強ければ宇宙がいつか収縮して一点に集まるかもしれないという未来が描かれています。
この中央の大きなコマは、左から右へと流れる「時間の経過」と、「宇宙空間的な広がり」の両方を同時に表現しているのです。宇宙のつながりと、壮大な時空スケールを一目で感じさせるこの構成。思わず「やられた!」と声をあげてしまいました。
主人公は「あなた自身」。アインシュタインと共に旅に出よう
この本のもう一つの素晴らしい点は、案内人がアインシュタインであり、その横にいる主人公が「顔のない誰か」として描かれていることです。
顔が描かれていないからこそ、読者は自然と自分自身をそのキャラクターに憑依させることができます。つまり、あなた自身がアインシュタインの手を取り、宇宙を股にかけた大冒険に出かけている気分になれるのです。
複雑な科学の知識が、物語のプロットと見事に融合しています。映画を観ている時のように、脳内にパシャ、パシャっと鮮烈なイメージが飛び込んでくる感覚は、他の学習漫画ではなかなか味わえません。
「科学漫画」というと、ストーリーと知識がバラバラになってしまっているものも多いのですが、この本はそのバランスが満点です。中学生から大人まで、楽しみながら「宇宙の真理」に触れることができるでしょう。
もし、夜空を見上げて「宇宙の果てはどうなっているんだろう?」と一度でも考えたことがあるなら、この本は最高のガイドブックになるはずです。
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