餌を使わないイルカショー!?新江ノ島水族館「ドルフェリア」が教えるイルカとの信頼

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

「目の前の動物は、なぜその動きをするのか?」

そんな問いを胸に、今回は理科部活動の引率で江の島を訪れました。本来の目的は、波打ち際に見える力強い「地層」の観察だったのですが、あいにくこの日は荒波のため断念。しかし、そのおかげで立ち寄った「新江の島水族館(えのすい)」で、理科教師としての固定観念を揺さぶられる、驚きの光景に出会いました。

今回は、最新の動物行動学の結晶ともいえる、新感覚のパフォーマンスをご紹介します。

ご褒美の餌がない!?イルカと人間の「新しい信頼関係」

水族館といえばイルカショー。皆さんは、イルカがジャンプをした直後、トレーナーから魚を受け取る場面をよく見かけませんか?これは「オペラント条件付け」という心理学的な学習方法で、特定の行動に対して報酬(餌)を与えることで、その行動を定着させるという、いわば理科の教科書的なトレーニングです。

ところが、えのすいで開催されている「ドルフェリア」というショーは、その常識を覆していました。なんと、演技の途中に餌を与えないというのです。

解説のお兄さんによると、このショーはイルカ自身が「楽しい」「おもしろい」と感じる「遊び」の延長線上に成り立っているとのこと。もしイルカがやりたいと思わなければ、ジャンプもしてくれません。餌という強制力を使わず、イルカとの純粋な信頼関係だけで作り上げる、非常に難易度の高いパフォーマンスなのです。

芸術と科学の融合。イルカが妖精と「シンクロ」する瞬間

ショーが始まると、そこにはイルカショーの枠を超えた「物語」が広がっていました。妖精に扮した女性たちが美しい歌声とともに踊り始めると、そのリズムに合わせるように、イルカたちが力強く飛び出してきます。

驚いたのは、その「シンクロ率」です。

まるで劇団四季の舞台や、音楽と連動する精密な打ち上げ花火を見ているよう。イルカには人間が聞くことのできない高い周波数の音(超音波)を出す能力があり、仲間同士で高度なコミュニケーションを取る知能があります。そんな彼らが、人間の動きや音楽という「異なる種族の合図」を理解し、楽しそうに共演している姿には、生物学的な感動を禁じ得ませんでした。

科学の目で見る「遊び」の重要性

高等な哺乳類にとって、遊びは単なる暇つぶしではありません。脳を発達させ、社会的な絆を深めるための重要な活動です。今回の「ドルフェリア」を見て、「好奇心」というエネルギーが、時には「餌」という報酬よりも強力な原動力になるのだと再確認しました。

地層の観察こそできませんでしたが、イルカの知能とトレーナーの信頼が織りなす「生きた科学」に触れ、生徒たちにとっても思い出深い一日になったようです。

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