現場で「ホントウに」使えるICTとは?触って学べる実験教室@鹿児島【講師】

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

台風が九州に刻々と近づき、荒れ模様の天候となった鹿児島。そんな嵐の予感を吹き飛ばすような熱気あふれる物理教室が、県立甲南高等学校で開催されました。

今回は、鹿児島県の高校物理を担当されている17名の先生方とともに、「現場で『ホントウに』使えるICTとは何か?」を徹底的に追求した、触って学べる実験教室のレポートをお届けします。

触ってこそわかる、ICTの本当の価値

今回のワークショップで私がもっともこだわったのは、参加した先生方に徹底的に「手を動かしてもらう」ことです。

ICT(情報通信技術)は、ただ眺めているだけではその真価はわかりません。先生方には、事前にご自身のタブレットへ指定のアプリをインストールしていただき、実際の授業風景を再現しながら体験していただきました。

「モーションショット」「超速300連射」を使って、物体の運動をどう解析するかを実習しました。

例えば、「モーションショット」を使えば、投げ上げたボールが放物線を描く様子をコマ送り画像のように合成できます。これは物理学でいうところの「ストロボ写真」を、スマホ一つで実現する技術です。移動距離と時間の関係を視覚化することで、目には見えない「速度の変化」を直感的に理解できるようになります。

こちらは定常波を作るコツをお伝えしている様子。物理現象をきれいに見せるには、実は手首のスナップという「職人芸」も必要なんです。

「見えないもの」を視覚化するセンサーの力

さらに今回は理科教材会社のナリカさんにご協力いただき、「イージーセンス」などの最新センサー機器も体験していただきました。

物理の授業において、電流や音の波形、急激な温度変化などは目に見えません。しかし、センサーを使って「データロギング(数値の自動記録)」を行えば、グラフがリアルタイムで描かれていきます。高価な機材ではありますが、これこそが現代の理科教育に必須の「見える化」ツールなのです。

ICTはあくまで「補助ツール」であるという信念

講義の最後に、私がもっとも強調させていただいたことがあります。それは、「ICTは実験を省略するための道具ではない」ということです。

世の中には、動画を見せるだけで実験を済ませてしまう授業もあります。しかし、物理の本質は、自然現象を自分の目で見て、肌で感じること。ICTは、「実際の実験をより深く理解するため」「目に見えない現象を捉えるため」「実験を効率化して考察の時間を増やすため」の補助ツールに過ぎません。

現場で生(ナマ)で行う実験の迫力や、試行錯誤の価値に、デジタルが足元にも及ばないことを忘れてはいけないのです。

先生方からの熱い反響

参加された先生方からは、驚くほど前向きなフィードバックをいただきました。アンケートでは13名全員が5段階評価で満点の「5」をつけてくださるという快挙でした!

・ICTは補助である、という言葉に安心しました。設備投資の壁はありますが、自分にできるアプリから挑戦してみたいと思います。

・講座を受けながら授業のアイデアがいくつも浮かびました。生徒に理科の楽しさを伝えていきたいです。

先生方が夢中になってバネを振り、タブレットを操作する姿を見て、鹿児島の物理教育の未来に強い光を感じました。

当日の様子は「物物会(鹿児島)」のブログでも紹介されています。ぜひ併せてご覧ください

番外編:鹿児島の食と「見えない桜島」

台風のせいで桜島が雲の中に隠れてしまいました……無念!(泣)

仕事の後は、鹿児島の先生方に紹介していただいた「まんまるや」さんへ。東京では考えられないほど新鮮なお魚を、驚くほどリーズナブルに堪能しました。鹿児島の皆さんの温かい人柄と美味しい食事に、台風での延泊も悪くないなと思ってしまうほどでした。

後日談

先月に鹿児島で行ったICT活用講演会

現場で「ホントウに」使えるICTとは?触って学べる実験教室@鹿児島【講師】

について、物物会(鹿児島)のブログにてその様子につて書かれていました。当日の様子を参加していただいた教員の目線で書いていただいていたので、私としても新たな視点が得られました。

http://butsubutsukai.blog.jp/archives/24322071.html

ぜひ御覧ください。当日は台風が接近して大変な一日となりましたが、それももう1月前ですね。学校が始まってしまった今、遠い昔のように感じています。とにかく実施することができてよかったですし、現場の先生方とお話できて、現場で困っていることは同じなのだなということを改めて感じました。

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