科学的には必要のないものを、なぜ物理学者は作ろうとしたのか?

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『知ろうとすること。』を読みました。

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この本は東日本大震災による原子力発電所の事故についての取組をしている
物理学者の早野龍五先生の取組を、糸井重里さんとの対談の中で知ることができる1冊となっています。

読む前は、早野さんが科学の人で、糸井さんが物語の人と思っていました。
もう少しざっくりいうと、早野さんが理系脳で、糸井さんが文系脳という感じです。

ですが読み進めていくうちにおもったのが、早野さんも糸井さんも、
どちらもバランスよく科学的な視点や、社会面、政治面、福島の方の精神面にも
よりそった語り方をしており、深みのある1冊でした。

中でも勉強になったのが「子供用ホールボディカウンター」というものです。
大人用はもともとあったそうなのですが、数分間機械の中で立っている必要があり、
乳児や幼児は正確にはかることができなかったそうなのですね。

でも、子供でもはかれるように、寝転がって計測できるように作ったのが
子供用ホールボディカウンターなんだそうです。

ただ、内部被ばくは食物から入ってくる放射性物質が影響をするようで、
保護者の内部被ばくがなければ、同じものを食べている幼児や乳児は、
実は測る必要のないものなのだそうです。

科学的には測る必要はなくても、親の気持ちになってみれば、安心はできませんよね。
実際に子供をみてもらって、子供の結果を信じたい。

そういう気持ちに寄り添うために開発されたものだということです。

こういう視点って、理系脳だと抜け落ちてしまうところですよね。
また糸井さんが私たちにわかりやすく伝えてるような比喩をいろいろな場面で
してくれているので、本を読みながら映像として頭にはいってくるところにも驚きました。

学校でも物事を教えるときには、さまざまな観点から、
相手のことを考えて、伝える必要があります。

よくディズニーランドにいくと、子供目線を合わせて、
クルー(スタッフ)が話をしているところを見かけるのですが、
この目線合わせができるかどうかが、物事を教えるときにもとても大切になります。

目線合わせをするためいは、相手の気持ちやバックグラウンドを知ることがすべてです。
そんなことも、この本を読みながら考えていました。

おすすめです。