学校で「勝てばいいんでしょ」的な方法を教えていませんか?
先日「ちきりん」さんの生産性に関する本をブログで紹介したら、
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ブログの読者から「こちらの本が教育について書かれていて面白いですよ」という情報をいただきました。
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早速買って読んでみると、たしかにタイトルからは想像がつかなかったのですが、教育について、ちきりんさんとプロ格闘ゲーマーのウメハラさんが、熱く対談されている本でした。教育とはかけはなれているように見えた対談相手ですが、内容が本質的で、たしかに面白かったです。ありがとうございます。
今後数回にわたって、面白かった点を抜き出してご紹介したいと思います。
いい人生を送れるように教えているか?
学校の意義についてですが、こんなことが書かれていました。
本来はそこにいる間に「いい人生を送るために必要なコト」はすべて教えてほしい。なのに果たして今の学校って、そういうことを教えてくれるんだろうか
ぼくたち教師ははたして生徒に「いい人生」を送るすべを教えることができているのでしょうか。理科教師としてこの箇所を読んで思ったのは、実験を重視するか、理論を重視するのか、ということです。
実験を重視する?理論を重視する?
理論を重視して実験を軽視していると、どうしても受験対応の内容になりがちです。かといって実験を重視しすぎると、受験からかけ離れた授業になってしまい、理論を説明する時間がなくなったり(わざと教えなかったり)、教えるべき単元が終わらなくなることもあります。
いろいろな先生方とお話をしましたが、このどちらに重きをおくのかで悩んでいました。もちろんぼくも悩んでいます。
ただ、「いい人生を送る」手助けをするのが教師だとすると、実験をして、その裏側にある自然法則に気がついたり、確認したりすること、が科学を楽しめる素養を育てたり、科学者の視点を手に入れたりすることになり、人生を豊かにする・楽しくすることにつながりますよね。
実験も理論もどちらも大切なんですよね。2つの要素をどうブレンドをどうさせるかは、未だに学校ごとに、きている生徒ごとに、事情は違うと思いますが。
学校の塾化とも関係しそうな内容でした。
人生の必勝法を教えているか?
また次のようなことも書かれていました。
成功が得られる場所はあそこだと教えられてて、しかもそこへ行くための一本道もわかってるんだから、”自分で考える”とか”あがく”みないな試行錯誤をするなんて、「なに無駄なことやってんだ」と言われかねない。
大人の役割とか、先生の役割って、本来は「こうやって遊ぶと、人生楽しいよー」って教えることだと思うんです。 中略 しかもクチで説明するんじゃなく、自分の人生を見せながら、子どもに人生の楽しさを示していく。 中略 でも今は学校も「勝てばいいんでしょ」的な方法を教えるわけですよ。
受験の攻略法は今の時代、人生の攻略法にはつながりませんよね。考える事、あがくこと、こそが辛いですが、人生の攻略法の1つなのですよね。
そんなことはわかっていても、なかなか実際には受験のための一本道を教えることにつながっていることがあるかもと、ぼくは”ドキ”っとしてしまいました。実際に高校3年生になってくると、夏季講座などで、受験の攻略法を教えているわけです。それは生徒のニーズがあるので、必要なことではありますが…。
救いは物理という科目が、”考える”ことを重きにおいているということはあります。受験であってもうまく使えば、生徒の考える力を育てることはできます。ただし、楽しませることはできないのではないか(一種のゲーム的な楽しませ方はありますが)という思いもあります。
まだまだ自分自身、迷走をしている部分はありますが、いつか学校から出て、より生徒が楽しめる根本的なものを提供するような仕事にも付きたいなという思いもあり、この本を読みながらいろいろなことを自分と対話していました。
非常に面白い本なので、教育関係者におすすめします。
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