見えない光が見える光に?蛍光ペンと洗剤で学ぶ「エネルギー変換」の実験
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
皆さんは蛍光ペンの液をブラックライトで照らしてみたことはありますか?
私はこれまでやったことがなかったのですが、早速、科学部員たちと一緒に実験室で再現してみることにしました。今回は、身近な材料で楽しめる光の実験と、その裏にある「電子のジャンプ」という科学的な仕組みについてご紹介します。
用意するもの:身近なアイテムで実験開始!
蛍光ペン、粉末洗剤、カッター、ビーカー(コップでも代用可)2〜6個、ブラックライト
※ブラックライトは最近では100円ショップなどでも手に入ることがあります。
方法:インクを取り出し、光の溶液を作る
まず、蛍光ペンを分解して、中の液体を取り出すことにしました。実際にカッターで分解してみると、中にはチャプチャプした液体が入っているわけではなく、インクが染み込んだスポンジのようなもの(中綿)が出てきました。
最初は、このスポンジをギュッと絞って蛍光ペンから液を取り出そうとしましたが、残念ながらあまり多くの量を集めることができませんでした。実験にはある程度の量が必要です。そこで作戦変更です。液体状で売られている蛍光ペンの「替え芯(インク)」を買ってきて使うことにしました。これなら最初から液体なので扱いも簡単です。
この液をスポイトでとり、液1滴に対して水15ミリリットルを加えて、薄い水溶液を作りました。これにブラックライトを当ててみます。

また、今回のもう一つの主役が「粉末洗剤」です。実は、衣類用の粉洗剤には「蛍光増白剤(けいこうぞうはくざい)」という物質が含まれていることが多いのです。粉洗剤を溶かし、同じように水15ミリリットルで溶液を作りました。

実験結果:闇に浮かぶ美しい光
準備ができたら、これらを並べて部屋を暗くし、いよいよブラックライト(紫外線)で照らしてみると…びっくり!暗闇の中で、きれいに液が光り輝きました。


特に面白かったのが洗剤(手前の液体)です。明るい場所ではただの白い濁った液体だったものが、ブラックライトを当てると鮮やかな青白い光を放ちました。さらに、これらの液体をいろいろと混ぜ合わせて、「白色の光」を作る調整実験にも挑戦してみました。光の三原色(赤・緑・青)のようにうまく混ざれば白になるはずですが、なかなか完璧な「白」にもっていくことはできませんでした。色の配合は奥が深いですね。
なぜ光るの?科学のキーワードは「エネルギー変換」
それにしても、なぜブラックライトを当てると、これらの液体は光り出すのでしょうか?ここに面白い科学の原理が隠れています。
ブラックライトが出しているのは、私たちの目には見えにくい「紫外線」という光です。紫外線は、実はとてもエネルギーが高い光です。蛍光ペンのインクや洗剤に含まれる「蛍光物質」には、紫外線をキャッチする性質があります。
吸収: 蛍光物質に紫外線(高いエネルギー)が当たると、そのエネルギーを吸収します。
興奮(励起): エネルギーをもらった物質の中の電子は、「元気いっぱい!」の状態(励起状態)になります。
放出: しかし、ずっと元気なままではいられません。元の落ち着いた状態に戻ろうとするときに、余ったエネルギーを「光」として放出します。
このとき、吸収した紫外線よりも少しエネルギーが低い、つまり「目に見える光(可視光線)」としてエネルギーを出すため、私たちは「光っている!」と感じるのです。いわば、蛍光物質は「見えない光(紫外線)」を食べて、「見える光(蛍光)」に変えて吐き出す「光の変換装置」のような働きをしているんですね。
洗剤が青白く光るのは、洗濯物が黄ばんで見えるのを防ぐために、この青白い光で白さを際立たせる工夫(補色効果)がされているからなのです。科学の力が、毎日のお洗濯にも隠されていたんですね。
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