現場教師がその日に解説!センター物理(発展)2017(H29年度)

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ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。 

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アツアツの今日のセンターを今日解説!

はじめに

毎年恒例で行っているどこよりも早く解説をしよう!という試みですが、受験生から今年は行わないのですか?というメールをもらったこともあり、今年も行うことにしました。昨年のものなどについては、こちらにまとめてありますので御覧ください。

[blogcard url=”https://phys-edu.net/wp/?page_id=798#i-3″]

問題は東進のサイトにのっているものを使いました。それではさっそくはじめていきましょう!

2017年1月16日 開始時間20時45分

リアルタイムの更新情報はツイッターやフェイスブックからどうぞ。また間違えがある可能性もあります。もし見つけましたらご連絡いただければ幸いです(^^)

第1問 小問題集

問1

問題文を絵におこしてみます。衝突後の速度をvBとしました。運動量保存の法則から、

4×3+2×(−1)=4×1+2×vB

はじめの運動量の和=あとの運動量の和

※ 右向きを正とする

これを解くと、vB=3.0m/sとなります。答えは③番。

問2

回転軸をA点にして、腕の長さをそれぞれ床(青)や壁(緑)に作っていきます。力のモーメントは、力を作用線上に動かしても効果は変わりません

それぞれの腕の長さは、壁側がh、床側が比を使うと2/3Lとなることがわかりますね。このことから力のモーメントのつり合いより、

反時計回りの回転のモーメント=時計回りの回転のモーメント

 これを解くと、2LMg/3hとなり、②番が正解になります。このように腕を変化させる場合のモーメントの作り方については、こちらをごらんください。

[blogcard url=”https://phys-edu.net/wp/?p=1528″]

問3

この問題に関しては、電気力線の様子といのがポイントになりますね。①は異符号の等電位面の様子でバツ、②は同符号の電荷の等電位面でバツ、③は同符号の電気力線の様子でバツ、④は変な形!バツ、⑤はサンジ?でバツ、⑥はおおこれは異符号の等電位面の様子ですね。○です。

立体的に書くとこんな感じです。

スクリーンショット 2013-11-17 21.26.44

詳しくはこちらを御覧ください。

[blogcard url=”https://phys-edu.net/wp/?p=1033″]

問4

こういうものは、実際に描いてみればいい。赤で書いたのがはじめの状態でのできる実像です。緑で描いたのが適当に遠ざけたときにできる実像です。

というわけで、倒立の像ができ、レンズに像が近づくという⑤が正解。

問5

地表のほうが温度が低いので、音速は遅くなります。

参考 音速V=331.5+0.6t

また屈折の法則から、波の速度が上空ほど速いと音は次のように広がっていきます。

ちょっと遠くまで飛ぶ感じ、届きやすくなりますね。それに対して上空ほど遅いと次のようになります。

このことから、答えは⑤番になります。

第2問 電磁気

A 問1

コンデンサー内部の電位の変化の様子は、直線上になります。左側にアースがついているので、左側が電位0、右側が電位V0となります。よって(a)については、①が正解。また金属内では静電誘導により電位の偏りの調整がおこり、常に電位が一定になります。ただし、左が電位0、右が電位V0ということはアースや電池の様子から変わりません。よって傾きが激しくなり、金属内では電位が一定な③が正解となります。

問2

静電エネルギーの公式は

です。今回の問題ではVが(a)でも(b)でも同じなので、エネルギーの比はCにのみ依存します。そのため、Cについて考えていきましょう。極板面積をSとすると、aの電気容量Caは、

またbの電気容量Cbは、金属板の電位が一定なところを考慮すると、極板間隔が3dからd減った2dとなることになりますから、

となります。よってUb/Ua = Cb/Ca = 3/2 となります。答えは⑤番。

B 問3

ファラデーの電磁誘導の公式は、

 

です。またΦ=BSで、今回はコイルの断面積は変化しないので、次のように表記することができます。

ΔB/Δtは、磁束密度Bの時間変化tを表すので、磁束密度が変化した0からTと、2Tから3Tでコイルに起電力が生じ電流が回路に流れることがわかります。またTから2Tの間は磁束密度が変化していないため、ΔB/Δt=0となり回路に電流は流れません。答えは③となります。

問4

抵抗に電流が流れるためには、ダイオードに左から右にかけての電圧がはたらく必要があります。右手を出して考えると、図のBの方向の増加を妨げる方向(1/2TからTの間)または、Bとは逆方向の磁束密度の減少を助ける方向(0から1/2Tの間)になったときだということがわかりますね。

このことからグラフの0からTの間に注目し、その間に2B0増加していることから、ファラデーの電磁誘導の公式にあてはめて考えると、

となります。答えは⑤番。

第3問 波動

A 問1

これはくさび形の干渉の代表的な問題ですね。図のようにある場所xでの厚さをYとすると、この場所の経路差は2Yとなります。

2YをLとaで表すために、比をとると、

x:Y = L:a

この式を2Yで展開すると、

強め合いの条件式は、疎から密の反射の数が1つあるので、

これをxについて解くと、

となります。

m番目の明線の位置xmは、

m+1番目の明線xm+1は、

となります。これらのことから隣り合う明線の間隔dは、

d =xm+1 − xm = Lλ/2a

となります。答えは②番。

問2

真下からみると、固定端反射が2回おこるので、条件式が上から見た場合(固定端1回)と真逆になります。

また屈折率nの液体で満たすと、明線の間隔d= Lλ/2aの何が変化するのかを見てみると、屈折率nの液体でみたしたことにより波長λがn分の1になるので、dもn分の1倍になります。これらのことから、答えは⑥番です。

B 問3

これは簡単。単原子分子の内部エネルギーの公式U=3/2nRTより、

答えは③番。

問4

これも簡単。ボイル・シャルルの法則よりBの温度をT’とすると、

これをとくと、T’=2T0となり、答えは④番。

問5

熱力学第一法則より、

Q=ΔU+W

Q=3/2nRΔT+W

またCからAは定圧変化なので、W=pΔVとなる。

Q=3/2nRΔT+pΔV

また状態方程式から考えると、pΔV=nRΔTとなるので、

Q=5/2nRΔT

Cの温度はBと同じ(等温)なので2T0、またAの温度はT0なので、

Q=5/2nR(T0−2T0)= −5/2 nRT0

ここでマイナスは放出を示します。答えは⑥番。

第4問 力学

A 問1

θの位置に注意をして重力mgを分解すると、斜面方向の力はmgcosθとなります。

運動方程式より加速度を求めると、

ma = mgcosθ

a = gcosθ

となります。等加速度直線運動の距離の式に代入すると、距離L動いた時の時間は、

この式をtについて解くと、答えは⑦番となります。

問2

円運動をしているといのがポイントです。円運動の問題は中心向きの力、向心力をみつけて、運動方程式を作りましょう。物体にはたらく力は垂直抗力と重力です。垂直抗力を中心方向の力に分解します。θの位置に注意をしましょう。

水平方向に運動方程式を作ると、

 式①

また鉛直方向には物体は動かないので力のつり合いを作りましょう。

mg = Nsinθ 式②

Nを消すために式①と②を連立させてaで解くと、答えは⑦となります。

問3

ちょっと難しそうに見えますが、この問題は斜面上に摩擦力がないため、AからBの間ではたらく外力は重力と垂直抗力となります。重力は位置エネルギーを考えれば済み、また垂直抗力は今回の動く面の上では常に直角向きを向いているので仕事をしません。そのため、単純に力学的エネルギーの保存を作れば良いということになります。

Aの力学的エネルギー=Bの力学的エネルギー

B 問4

これは基本的な問題です。運動方程式をしっかり理解しているかどうかがわかる問題ですね。次の図のように力を全部描き、加速度もつけます。

それぞれの力の長さや加速度の向きがポイントです。描くことができましたか?それぞれの物体について運動方程式を作ります。

Ma = Mg − T 式①

ma = T − mg 式②

aを消去してTについて解くと、答えは⑥番です。運動方程式の作り方がわからなかったらこちらの動画を御覧ください。

問5

これは慣性力がかければ一発ですね。慣性力は物体の加速度とは逆向きに質量×加速度の力を引きます。

力のつり合いから、

kx = Ma + Mg

これをxについて解くと答えは②番となります。

第5問 波動分野(選択)

問1

観測者が音源に向かっていくと、一定時間内においてたくさんの音波を聞くことになるので、もとの振動数より、聞く振動数が大きくなります(高い音が聞こえます)。また観測者がどんなに動こうが、向かってくる音波の波長には影響がないため、音波の波長は

V=f1λ

となり、λ=V/f1となります。答えは⑧番。

問2

これは問1とセットのような問題ですね。音源が動いた場合は、音波の波長が変化します。このあたりがわかっているかどうかは、本当によくセンターで問われますよね。絵を書いて考えてみましょう。0秒で出した1個目の音波は1秒後にV[m]進みます(黒で表しました)。

また1秒後に音源はv[m]進んでいます。そこで1秒後の最後のf目の音波を出します。よって、V−vの間には全部でf個の音波があるはずです。ですから1つの音波の長さ、つまり波長は、

(V−v)/f

となります。答えは②番。このようなお絵描き技については、拙著波動編にまとめました。もしわからない場合は御覧ください。

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問3

まず①反射板が音源から聞く振動数を求め、②次に観測者が反射板から聞く振動数を求めます。

① 反射板が音源から聞く振動数

ドップラー効果の公式より

式A

作り方がわからない場合は、こちらの動画を御覧ください。上記の拙著でまとめた内容を動画でも紹介しています。

 

② 観測者が反射板から聞く振動数

ドップラー効果の公式より

式B

式Bのf2に式Aのf2を代入して整理をしていきましょう。答えは①です。

第6問 原子分野(選択)

問1

①については、電離作用はα線がたしかに強いですが、他の放射線もあります。バツ。

②については、α線とβ線が曲がり、ガンマ線が曲がらないという性質があります。バツ。

③については、ベータ崩壊をすると原子番号が一つ増えるのでバツ。

④については、自然界にあるものも放射線を出す物質は多くあります。バツ。

⑤が正解です。

覚えていない場合は消去法ですね。

問2

質量の減少分に光速の2乗をかけたものが、結合エネルギーです。なのでcの2乗が全ての答えについているのは良いとして、質量の減少分を求めようという問題ですね。

バラバラのときの質量は、原子番号=陽子の数なので陽子の重さがZmp、また中性子は質量数−陽子の数なので、(A−Z)mnとなります。よって全体の質量は、

Zmp + (A-Z)mn

となります。原子核の質量がMなので、減少分は、

Zmp + (A-Z)mn − M

となります。よって答えは④となります。

問3

原子番号と質量数の和が反応前と反応後で同じになっている必要があります。そのため、選択肢から選べるのは2H(質量数1)しかありません。また水素などの軽い原子は核融合をしてより安定をしようとし、核融合反応ではエネルギーが放出されます。答えは③番です。

感想

以上で解き終わりました。

解いてみた感想は、今回も難しい問題はないものの、くさび形の干渉等、幅広い学習が必要になってくると感じました(事前にセンター予想演習でくさび形あやしいよ!と伝えておいていましたが、生徒のみなさんできたでしょうか?)。

また選択に波動が入ってきていて、それがまた簡単な問題だったことも驚きました。原子分野を選ばないで波動を選んだ生徒も多かったと思います。

もしこの解説が、全国の受験生のみなさんの理解に少しでも役立っていれば、とってもうれしいです(^^)。

今後説明不足の点もありますから、解説をもう少し整えていきたいと思います。今日は寝ます!受験生のみなさん、おつかれさまでした。また明日から前を向いて進んでいきましょう。

終了時間 0時3分

大学入試センター試験関係の参考書を数冊かいています。初心者向けにかいておりますので、もしわからないところがありましたら参考にしてください。

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