「立体の壁」を遊びで越える!大人もハマる数学おもちゃ「ポリドロン」の魅力

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

「頭の中でサイコロを2回回転させてください。さて、今の正面の数字はいくつ?」 皆さんは、こういった空間認識能力を使う立体図形の問題、得意ですか?

ぼくは中学生のころ、数学のこの分野で大きな壁にぶつかりました。例えば、立方体を切断したときの「断面図」の形を答える問題などです。

正直に言うと、当日の先生の説明がまったくわからず、比較的得意だと思っていた数学で大きくつまずき、とても悔しい思いをしました。「黒板という2次元(平面)」で「3次元(立体)」を説明されることの限界を感じた瞬間でした。

見出し3「3次元」を教える難しさ

理科教師になった今、数学の先生に聞いてみると、やはりこの立体図形を「教える」のは非常に苦労する分野なのだそうです。

そういえば、ぼくも理科の授業で電流と磁界の関係を示す「フレミング左手の法則」などを教える時、生徒が苦労するのは決まって3次元の動きをイメージする場面です。親指、人差指、中指がそれぞれ別の方向(X軸、Y軸、Z軸)を向く感覚は、言葉での説明が難しく、なかなか全体に伝わらないもどかしさを感じていました。

見出し3幾何学的な「遊び」が脳を育てる

そんな中、先日学校で行ったオープンキャンパスで、ある数学の先生の授業を見せてもらう機会がありました。そこで使われていた教材に、僕は思わず感動してしまいました。「ポリドロン」というおもちゃを使って、立体模型を作っていたのです。

このポリドロンという玩具ですが、四角形や三角形のプラスチック製のパーツがあり、パーツの辺どうしを「パチッ」と簡単につけたり・はなしたりできるようになっています。

レゴブロックのように積み上げるのではなく、面をつなぎ合わせていくため、立体図形の展開図が、遊んでいるうちに自然と理解できてしまうという優れものでした。

見出し3大人も間違える?正多面体の不思議

この講座のテーマは「正多面体を作ろう!」というもので、正4面体、正6面体(立方体)、正8面体などを実際に組み立てていました。

面白いことに、とくに正8面体の作成が難しく、参加していた大人の方でも間違っている姿が見られました。実は、ぼくも直感で作って間違えそうになりました。

なぜ間違えるのでしょうか? 正多面体には、「どの頂点にも同じ数の面が集まっている」という美しい数学的な定義(ルール)があります。例えば、正8面体なら1つの頂点に「4枚」の正三角形が集まらなければなりません。

なんとなく形を作るだけでは、このルールが成り立たず、歪な形になってしまうのです。言葉で「頂点に集まる面の数が…」と説明されてもピンときませんが、実際に手を動かして失敗すると、「なるほど、そういうことか!」と直感的に理解できます。

見出し3理科(化学)への応用と「体感」の大切さ

遊びながら立体に慣れ親しむ。こういう体験こそ、小学生のうちからやっておかないと、いくら高学年になって先生の高度な説明を聞いても、脳内でイメージができず、わからなくなってしまうなと、今回の授業で体感で学びました。

これは数学だけでなく、理科の授業でも大いに使えそうです。 例えば、高校化学で習う結晶構造。食塩(塩化ナトリウム)の結晶などの「立方格子」を教えるとき、このポリドロンがあれば、原子の配列を立体的に見せることができます。構造を理解するのに、これ以上ない教材になるでしょう。個人的には、立体の学習に関してはレゴよりも直感的でいいんじゃないかなぁと感じています。

面白いおもちゃ、いえ、素晴らしい教材ですね。

ポリドロン

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