えっ!?下敷き1枚で机が持ち上がるって本当?【大気圧の大きさを知る実験】
下敷きで机を持ち上げる!?~大気圧の“見えない力”を体感しよう~
「圧力」という単元を教えるとき、どんな導入や体感実験を使っていますか?空き缶をつぶす実験はインパクトがありますし、ペットボトルをへこませる手法もよく知られています。けれど、「もっと身近に!」「もっと簡単に!」を求めるなら、今回ご紹介する“下敷きで机を持ち上げる実験”がぴったりです。
使う道具はたった2つ。どこの教室にもある「机」と、100円ショップで手に入る「下敷き」と「吸盤」だけ。準備がとにかく簡単で、生徒たちに「えっ!?こんなもので?」という驚きと、「大気圧ってこんなに強いのか!」というリアルな体感を同時に与えてくれます。
授業中でも、理科室以外の普通教室でも、家庭でもできるこの実験。「空気の力が“見える”瞬間」をぜひ授業に取り入れてみてください。
実験の準備と手順
◆ 用意するもの(1班分)
• 下敷き(B5サイズ)…1枚
• 吸盤(直径3.6cm程度)…2個
※私はどちらも100円ショップ(セリア)で購入しました。
※班の数に応じて12枚、吸盤は24個準備しました。
▼参考商品:
• 「ミニスーパーフック 吸盤式 5個入」110円(税込)
• Amazonや楽天でも類似品が手に入ります。
◆ 実験の方法
1. 机の上に下敷きを平らに置きます。
2. 下敷きの上に吸盤を2個くっつけます。
3. 吸盤を持って、ゆっくりと持ち上げてみます。
【ポイント】
勢いよく持ち上げると吸盤が外れることがあるので、「ゆっくり」がコツです。下敷きが机にピタッとくっついたまま、机が持ち上がる感覚をぜひ味わってください。
◆ なぜ下敷きで机が持ち上がるの?
実は机が浮いているのではなく、大気圧が下敷きを強力に押さえているために、下敷きと机が剥がれなくなっているのです。
下敷きと机の間の空気が遮断されると、外側からの大気圧だけがはたらき、結果として下敷きが机を「引き上げている」ように見えるのです。これは大気圧の存在と強さを体感的に理解できる非常に良い教材です。
◆ 理科の知識:大気圧の力を計算してみよう!
この実験に使った B5サイズの下敷き(182mm×257mm) には、いったいどれほどの大気圧がかかっているのでしょうか?
1hPa=100Pa、地上気圧をざっくり**1000hPa(=100000Pa)**と仮定すると…
F = P × S = 100000[Pa] × 0.182[m] × 0.257[m] ≒ 4677[N]
これは約467kg重に相当します!こんなにも大きな力が、日常的にどこにでも存在している大気によってかかっているなんて、生徒たちはきっと驚くはずです。
◆ 発展学習のアイデア
この実験と併せて、以下のような問いを出すと、さらに学びが深まります。
• 手のひら(15cm×10cm)にかかる大気圧による力を求めよ。
• 人差し指の爪(1cm²)にかかる大気圧の力は?(目安:1cm²あたり1kg重)
また、**ナリカさんの「ゴムピタくん」**なども使えば、さらに楽しい展開が可能です。
机にピタッと張り付く教材として、大気圧体験用の定番アイテムです。
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