タブレットは「魔法の杖」じゃない?物理教師が語る、失敗しないICT授業の極意@浜松【講演】
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

「学校の授業でタブレットを使うと、成績が上がるの?」 「デジタルばかりで、実験がおろそかになるんじゃない?」
そんな疑問を抱く方は少なくありません。実は、教育現場でのICT(情報通信技術)活用には、「魔法のような便利さ」と「落とし穴」の両方が存在します。平成28年8月4日(木)、私は静岡県浜松市にある浜松開誠館高等学校にて、「がっかりしない!現場でつかえるICT活用法〜物理基礎を題材に〜」というテーマで講演を行いました。
今回は、「アナログ(実験)」と「デジタル(ICT)」をどう組み合わせれば、科学の学びが深まるのか? その秘密を少しだけご紹介します。会場は浜松城が見える素晴らしい場所でした。

ICTは「主役」ではなく「最高のスパイス」
今回の講演は、以前名古屋でお会いしたK先生とのご縁で実現しました。 「ICTはあくまで補助ツールであり、主役は生徒の体験である」という私の考えに強く共感してくださったのです。

当日は物理だけでなく、生物、化学、情報の先生、さらには教員志望の方まで、総勢19名が集まりました。
私がこの講座で最も伝えたかったこと、それは「リアルがあってこそのデジタル」という原則です。
例えば、ボールを投げる実験。「重い」と感じたり、「風を切る音」を聞いたりするのは、実際に体を動かさないとわかりません。これはアナログの領域です。 一方で、「ボールの速度」や「加速度の変化」といった目に見えないデータを、グラフとして一瞬で可視化する。これがデジタルの得意技です。
この二つを組み合わせる「ハイブリッド授業」こそが、脳に深く残る学びを作ります。
目に見えない世界を「センサー」で捉える
講座は実習形式で行い、明日からすぐに使える10個の実験テクニックを紹介しました。

特に重点を置いたのが、「イージーセンス」などの計測センサーの活用です。 人間の感覚は意外と曖昧です。「熱い」「速い」といった感覚を、センサーは正確な数値に変えてくれます。
「なんとなく」を「確かな事実」に変える体験。 これこそが科学的なものの見方を養う第一歩です。 タブレットやアプリを使う理由は「カッコいいから」ではなく、「見えないものを見るため」なのです。
先生方からのリアルな反応
講演後のアンケート(回収16枚)では、満足度が5段階中平均4.8という高評価をいただき、ホッと胸をなでおろしました。

本当にがっかりしない講義ですばらしかったです。

デジタルにこだわらず、アナログに作られた教材も多く扱われていて、その両方の良い点を引き出されていて、おもしろく学べました。

全てをICTで授業をやっていると思っていたが、以外と短い時間しか、活用していないのにびっくりした。10分〜15分でも利用してみたいと感じた。
特に「授業のすべてをデジタル化しなくてもいい」「10分だけ使えばいい」という提案は、多くの先生方の肩の荷を下ろしたようです。詳しいアンケート結果はこちらからご覧いただけます。
反省とこれからの課題

2時間30分という長丁場でしたが、伝えたいことが多すぎて時間が足りなくなってしまいました。先生方同士のワークショップの時間をもっと取りたかったのが反省点です。
編集後記:浜松への小旅行
最後に、当日の移動記録をメモとして残しておきます。新幹線は速いですね。東京から浜松まで「ひかり」で約2時間。物理でいう「等速直線運動」を感じながらの快適な旅でした。
10時30分ころ 浜松駅着・散策(ものづくりの街の空気を感じました)

11時30分 K先生のお迎えで会場へ 14時00分〜16時30分 講演本番 18時ころ 帰京
講演の準備には最低1時間は必要だと再確認。これもまた、次への実験データとして蓄積しておきます。
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