ガスバーナーは不要!火を使わずに安全に加熱できる「意外な家電」とは?
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
まるで試験管の中に雪が降っているかのような、幻想的な光景。みなさんは以前ご紹介した「塩化アンモニウムの再結晶」実験、もうご自宅で挑戦してみましたか?
キラキラと結晶が舞い落ちる様子は、時間を忘れて見入ってしまう美しさですよね。この実験は、危険な薬品を使わず、手軽に材料が手に入るので、家庭で楽しむ科学実験として特におすすめです。こちらの記事をご覧ください。
実験のハードルを下げる「熱源」の工夫
化学の実験では、今回の再結晶のように「物質を温めて溶かす」工程や、状態変化を観察するために加熱する場面が頻繁に登場します。 教科書ではガスバーナーやアルコールランプを使いますが、ご家庭のリビングで火を使うのは少しハードルが高いですよね。「火加減が難しい」「倒したら危ない」といった心配から、せっかくの実験を躊躇してしまう方もいるかもしれません。
そんな悩みを解決する画期的なアイテムとして、理科教育のスペシャリスト・小森栄治先生に教えていただいたのが、なんと「電子ジャー(炊飯器)」でした。
古くなった電子ジャーを保温モードにしてお湯を張り、その中に試験管を入れて温める。つまり、安全な「湯煎(ゆせん)」の装置として使うというアイデアです。これなら火を使わずに一定の温度を保てます。
理科教師がたどり着いた「最強の実験道具」とは?
電子ジャーは確かに便利で、やけどのリスクも低く、ガスバーナーよりも導入しやすい素晴らしいアイデアです。しかし、私の家には余っている炊飯器がなく、生徒たちに聞いても持っている子はなかなかいませんでした。そこで代用品を探していたとき、自宅の棚の奥で眠っていたある家電が目にとまりました。「これだ!」と思ったのが、電気鍋(グリル鍋)です。
電気鍋なら、保温から加熱まで温度調整も細かくできるし、口が広くて使いやすい。そう確信し、早速学校の理科室に寄付をして導入しました。

私は象印の電気鍋を使っています。
「実験室の恒温槽」代わりになるスグレモノ
実際に使ってみると、これが理科室でも大活躍でした。 科学実験において、温度を一定に保ちながら温める装置を「恒温槽(こうおんそう)」と言いますが、電気鍋はまさに簡易的な恒温槽として機能します。
電気鍋が実験に向いている3つの理由:
温度管理が簡単:事前に温めておいたり、一定温度で保温したりできるため、溶解度の実験などで条件を揃えやすい。
安全性が高い:もともと食卓で鍋や焼肉をするためのものなので、周りのガードがしっかりしており、外側が熱くなりにくい構造です。
安定感抜群:平べったい形状なので、ガスバーナーやアルコールランプのように「倒れる」心配がありません。
例えば写真のように、電気鍋に水を張ってお湯にし、その中にビーカーに入れた試験管を入れて温めることができます。 直火で加熱すると、急激な沸騰(突沸)が起きたり、ガラスが割れたりするリスクがありますが、この「湯煎方式」なら穏やかに物質を温められるため、観察もしやすく安全です。
まとめ:キッチンにあるもので科学を楽しもう
ご家庭で実験をする際は、ぜひこの「電気鍋」を活用してみてください。 火を使わないので、小さなお子さんと一緒でも、やけどの心配を減らして安全に実験に集中できます。もちろん、実験器具として一つあると便利ですが、普段は鍋料理や焼肉など、ホームパーティーでも大活躍します(^^) まずは、温かいお鍋でおいしいご飯を食べて、そのあとに家族みんなで塩化アンモニウムの再結晶実験による「ホワイトクリスマス」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
科学は特別な場所だけで行われるものではありません。身近な道具を工夫して使うことも、大切な科学的思考の一つです!
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