デキた!微積を使って円運動の公式をサクっと求めよう!微積4
高校物理と微分積分について
高校物理の検定教科書では微積を使わないで説明がなされています。数学の進度の関係もあるため、そのようになっていますが微積をつかって考えたほうがスッキリとわかりやすく説明できることも多くあります。
今回は微積を使ったほうが良い範囲について、一つひとつ説明をしていこうと思います。
今回はその第4回目!
円運動の加速度の導出を微積でやってみよう!
円運動の加速度の大きさは、
と表されますね。向きは円の中心方向を向きます。このことについて考えてみましょう。
次の図のように円上を等速で動く、ある点Pの速度vは、点Pでの接線方向を示す単位ベクトルkを使って、
(速度=速さ×接線方向の単位ベクトルk)
と表されます。ここで太字はベクトル量を示します。
加速度の定義から、速度を微分してみましょう。
となります。ここで右辺の1項は速さの変化(dv/dt)を示しています。等速円運動の場合には、速さの変化がないので、この項はdv/dt=0より、0になります(等速ではない場合には、必要になります)。2項は単位ベクトルkの変化による加速度を示します。つまり速度の向きの変化によって必要な加速度です。
今回は等速円運動の場合について考えるので、1項は0にして2項にのみ焦点を絞ります。
それでは、このdk/dtについて求めていきましょう。
dkを求めるために、2つのベクトルの始点をそろえて、Δkについて考えてみましょう。ここでnバーについては、三角形BCの方向を持つ単位ベクトルとしました。単位ベクトルkの変化量であるΔkは、2つの速度の単位ベクトルk(t)とk(t+Δt)を並べて見ると、次の場所になります。
このことからdk/dtについては次のように表すことができます。
二等辺三角形ABCの角Aから二等分をすると、直角三角形2つにわけられます。
このためΔkの値の大きさは、1×sin(Δθ/2)×2となります。BCの向きを向いた単位ベクトルnバーを使うと、
となります。Δtを0に近づけると、Δθは0に近づき、かつ角ABCは90°になるため、nバーは、ABの接線である単位ベクトルnになります。また別の数学の公式として、
という関係式があります。これも使います。
それでは、これらのことから、式②のdk/dtを作り替えていきます。
ここで、Δt→0のときΔθ→0なので、
となり、またΔt→0のとき、nバーは単位ベクトルnになるので、
となります。このことから、加速度は次のようになります。
公式を導くことができました。
高校物理の教科書を開くと、このようなことについて微積を使わないで説明がされています。ただし少し違和感を覚えるところがあるかもしれませんね。それは、今回のような微積を使わないで、頑張って説明をしているからそう感じるのかもしれません(^^;)。
次回は数学的な円運動の加速度の公式の解き方について、見て行きたいと思います。
参考としたのは、新物理入門と数学の本です。新物理入門は理系に進む人は必読書です。少しむずかしいですが、ぜひ受験中または、終わった時に手をだしてみてくださいね。
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ぼくは、家用、学校用、保管用の3冊を買って持っています(^^)
PS こんな本を書きました!こちらは微積を使わないで説明をしたものです。
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