黒板の再発明!?プロジェクター1つで授業を劇的に変える「白黒反転投影法」

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

黒板に浮かび上がる、チョークでは描けないほど精密で美しい曲線。まるで魔法のように見えませんか?実はこれ、プロジェクターを使ったちょっとした工夫、「白黒反転投影法」というテクニックなんです。今日は、この方法がいかに授業を楽しく、そして分かりやすく変えてくれるのか、特に物理の「波の干渉」を例にお話しします。

スクリーンショット 2015-06-16 20.45.23

魔法の黒板アート?「白黒反転投影法」の秘密

白黒反転投影法」とは、その名の通り、事前にパソコンで作成したスライドの白と黒を反転させて、黒板に直接映し出す方法です。上の写真で黒板に描かれている白い線は、チョークで描いたものではなく、すべてプロジェクターの光で投影されたもの。まるで黒板自体が発光しているかのように見えます。

もともとの画像は、生徒に配布するプリントと同じ、白い背景に黒い線で描かれたものです。

スクリーンショット 2015-06-16 20.46.53

このシンプルな工夫が、授業に驚くべき効果をもたらします。白黒反転投影法の詳しい設定方法については、こちらにまとめましたので、ぜひご覧ください。

なぜ「波の干渉」の授業で威力を発揮するのか?

私がこの方法を特におすすめしたいのが、物理の「波の干渉」の授業です。池に石を2つ同時に投げ込むと、それぞれの波紋が重なり合って、波が強め合ったり弱め合ったりする美しい模様ができますよね。あれが「波の干渉」です。この現象は、音や光といった、目には見えない波の性質を解き明かす上で非常に重要な概念です。

しかし、この干渉の様子を作図するのは至難の業。以前は、授業前に教室へ行って、休み時間の間にコンパスを片手に、黒板に大きな円を2つ、必死に描いていました。それでも、手書きではどうしても歪んでしまい、正確な干渉縞を再現するのは困難でした。

スクリーンショット 2015-06-16 20.46.58

正確な図は、現象の直感的な理解に不可欠です。この手書きの苦労を、白黒反転投影法は一瞬で解決してくれます。

授業準備が劇的に変わる!その方法とメリット

やり方はとても簡単。先ほどの円が描かれた画像を白黒反転させて…

スクリーンショット 2015-06-16 20.46.58

黒板に投影するだけです。

スクリーンショット 2015-06-16 0.04.59

これだけで、完璧な同心円が黒板上に出現します。あとは、この光の線に沿って、チョークで「波が強め合う点」や「弱め合う点」を書き込みながら説明を進めるだけ。

スクリーンショット 2015-06-16 0.05.09

教師は作図の負担から解放され、説明に集中できます。そして生徒たちは、正確で美しい図を見ることで、複雑な現象をストレスなく、直感的に理解することができるのです。

スクリーンショット 2015-06-16 0.05.14

電子黒板より手軽で効果的?

高価な電子黒板を導入しなくても、プロジェクターが1台あれば、どの教室でもすぐに実現できるのがこの方法の大きな魅力です。黒板に直接チョークで書き込めるため、デジタルとアナログの「いいとこ取り」ができ、ライブ感のある授業が展開できます。

授業の準備は楽になり、生徒の理解は深まる。まさに一石二鳥のICT活用法です。波の干渉だけでなく、幾何学の作図や生物の細胞分裂の模式図など、様々な場面で応用が可能です。みなさんの現場でも、この「魔法の黒板」をぜひ活用してみてくださいね

お問い合わせ・ご依頼について

科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・科学のネタ帳の内容が本になりました。詳しくはこちら
・運営者の桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中

科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!