動く棒の謎とフレミング左手の法則【3ステップ解法】
フレミング左手の法則と滑り台の問題
Q よくある滑り台の上を滑る棒がどんな仕組みで滑ったり、速度が変化したりするのかわかりません
この高校入試では定番の問題ですが、いろいろ複雑でよくわからなくなってしまう生徒も多いようです。今年は高校2年生を受け持っていないのですが、このような問題について多くの質問を受けています。
多くある間違いが、次の画像のように導体棒に斜面上向きの力がはたらいていいるという勘違いです。
定番の滑り台の問題、もし苦手な人がいたら、今回の記事を読んでみてください。
今回のおさえたい問題
鉛直方向上向きに磁場(磁束密度)のはたらいている空間の中に、図のように電池と導線で傾斜角がθの滑り台をつくった。
滑り台の幅はLで、摩擦は考えないものとする。この滑り台に自由に動くことのできる導体棒をわたして、回路に電流Iを流しながら手を離した。磁束密度をある値に調整すると、手を放しても導体棒は静止したまま動かなくなった。このときの磁束密度の大きさBを求めなさい。
解答・解説
ケン博士の解説動画
解説をこちらの動画にまとめてみました。久しぶりに登場の【ケン博士】です。文章でも同様のことを説明していますので、見やすい方を御覧ください。
文章でも解説
重力に対して電流が磁場から受ける力F=LIBが斜面上方向を向いてほしいですよね。だから斜面上方向に力がほしいんです。気持ちはよくわかります。
でも実際には、斜面上方向を直接向くわけではないんですね。このような問題を解く時には、まずは3次元の図を2次元に切り取ってみていくことですね。斜面の横方向から、どのように見えるのかを考えてみましょう。
この目の方向から見てみると、
このようになります。さて左手を使って電流、磁束密度の方向を刺してみてください。斜面上方向を向きますか?
こうなりませんよね!
左手をつかって考えてみると、親指は右方向を向くことがわかりますね。
このように電流が磁場から受ける力は右方向を向きます。ここまでくれば、もうあとは力学ですね。「ぶつりの123」で紹介した3ステップ解法を利用して、導体棒にはたらく力をすべて書くと、
力の見つけ方の3ステップ解法
1 顔を書く(^^)
2 重力をひく(今回は電流が磁場から受ける力をここでプラス!)
3 触れているものから受ける力を引く
この状態で導体棒は静止をしているので、力のつり合いを作りましょう。力を分解していきます。分解する方向はどのようにしても良いのですが、斜面の問題の場合は、斜面方向に分解していきましょう。
力のつり合いより
斜面方向:LIBcosθ = mgsinθ 式①
(上向きの力=下向きの力)
斜面垂直方向 N = mgcosθ + LIBsinθ 式②
(左向き後から=右向きの力)
今回求めたいものは磁束密度Bなので、Bについて式①をとくと、
となります。これが今回の答えです。
今日のポイント!
このような3次元での斜面方向を動く物体を考える場合のポイントは、視点の切り替え、見る方向による切り取り方ですね。自分の見たい場所できりとって考えていくことが大切です。
とくに斜面上を動く物体の問題については、斜面がよくいみえる方向で切ってあげるのが鉄則です!
今回の一つおみやげとして、切り取り方を持って帰ってくださいね!
3ステップ解放についてはこちらの本にまとめました。もしよかったら御覧ください。
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