世界初!ALLネットの反転授業から。デジタル移民の必要性
生徒の常識が変化している
デジタルネイティブとはMarc Prensky先生(パートナー方式の教授法を提唱した先生)が作った言葉で、
生まれた当初からデジタル機器に囲まれて育った世代のことをいいます。
デジタル原住民というべきでしょうか。
定義はまちまちですが、
2000年以降に生まれた子供がそれに近いと思います。
そんな生徒が現在ぞくぞくと中学に入学しています。
対してぼく(1981年生まれ)を含め、
今を生きる教師は人生の途中からデジタル機器に飲み込まれ始めてきました。
私は中学生の終わりにポケベル、高校でピッチ(PHS)、大学で携帯でした。
つまりデジタル原住民ではなく、アナログ大陸にすんでいた人です。
そして教師はデジタル大陸に移動を「しなければいけない」移民です。
教師は移民をしなければいけない
移動しなくても良い社会人はたくさんいますが、教師はそうはいきません。
教師はデジタル原住民(生徒)の考え方をよく知る必要があるからです。
教師という仕事は、相手がわからなければできるわけがなく、
デジタルネイティブの考え方、価値観、情熱を傾けるもの、
それらをそちらの大陸にいって移り住み、そして感じる必要があります。
例えばデジタルネイティブは、電子辞書やスマートフォンの辞書機能を使います。
今の電子辞書は紙の辞書と同じように充実しているのに驚きます。
そんなデジタルネイティブは、「暗記をした知識」に「意味」は感じないような傾向があります。
生徒に話しているとやたら、
「こんなの意味がない」
「でもテストで点をとるために覚えなければいけない」
という葛藤と戦っているようです(ぼくも当時そういう傾向がありましが、今の生徒はいわゆる「真面目」な生徒までこの葛藤と戦っています)。
そしてぼくたちが昔言われたような「良い大学」にいくことが「ゴール」ではないことを、当
時のぼくたちよりも、さらによく知っています。
だから不安定な社会でも「本当に役に立つもの」を常に探しているように、ぼくには見えます。
教師はそれに答える力を、今までよりもさらにつける必要がでてきています。
例えば、
「金属にプラスの帯電体を近づけると、自由電子が表面に集まってきます。このような現象を○○誘導といいます。○○にあてはまるものはなに?」
などという単なる用語を覚えているだけの問題にはまったく意味を感じないでしょう。
(試験には出るかもしれませんし、センターでもちょっとした知識問題はまだ見られます)
電子辞書で調べればわかるんですから。
「箔検電器に帯電体を近づけると、なぜ金属箔が開くのか?」など
「なぜ?」
を考えさせる問題を問わなければ、生徒は「意味」を感じません。
このような意味で、従来の「知識を流し込む」「だけの」教え方が通用しなくなってきているともいえます。
考える授業、発表する授業、コミュニケーションをとる授業、
そういったものが社会に出てよりいっそう大切になるし、
デジタルネイティブはそれは社会で役立つということをなんとなく理解していると思います。
今までもパートナー方式の大切さは知られていた
もちろんアナログ大陸にすんでいる(いた)私たちもそのようなことは前からわかっていました。
そしてぼくたちの親世代から、「有名な大学」の入試問題は暗記ではどうしようもない問題が多かったのも確かです。
その一方で、授業では暗記でどうにかなることも多かったのも事実です。
暗記的な知識は大切なのですが、その相対的な価値(または意味)は、現在かなり下がってきているし、
デジタルネイティブの意欲も下がっています。
また暗記とは別の例ですが、教室で座らされて知識を単に流し込まれるような授業、
教師が一方的に話して、蛍光ペンでマークをして、、、
などという授業形態に対する反感もたった7年間しかぼくは見てきていないのに、年々強くなっています。
(ちなみにぼくもそのような授業形態をとってきました)
「こんなの参考書を読めばいいじゃん」という生徒が多くなっているからです(皮膚感覚ですが)。
そんな中で、「昔から行われていた」探求活動、学び合い、総合的な学習、などなど、
そういったものがまた新たに脚光を浴びています。
カッコでくくったとおり、「昔から行われていた」というのは大切で、
グループワークを主軸とした、パートナー方式の教授法であるアクティブラーニング、
知識の流し込みを各自が家でおこなってきて授業に望む反転授業は、
昔から行われていました。だから「そんなことわかってるよ」とおもう方も多くいると思います。
今までの教え方と、これからの違い
ただし今までとの大きな違いは、それらの大切さは認識されつつ主に
「授業外」で取り入れられていたことが多かったことです(多くは外部からの圧力によって)。
授業外だから教師はさらに多忙になり、大切だとはわかっていて取り入れても、
授業の質が低下してしまうという問題がありました。
それが現在授業の「中」、科目の1つ1つで取り入れるような流れがでてきています。
教師自信が自分の授業でおこなう改善への流れが主流になってきています。
またこれらの学習活動に情報活用技術(ICT)を合わせて効率を高めている点で今までとは違います。
面白いことに教師よりも生徒のほうが、デジタルネイティブである生徒のほうがICTに詳しいかったり、
馴染みが早かったりすることもよくあります。
ICTにより興味を持っているのも生徒です。
最近関心の高くなってきた教え方として、アクティブラーニングや反転授業などがありますが、これらはパートナー方式の教授法を使いながら、ICTとアナログを融合させようとしている試みだから、デジタル移民である教師の新たな試みです。
ぼくたちは、アナログ大陸で培ったデジタル大陸でも役に立つ知識体系をたずさえて、デジタル移民をし、デジタルネイティブに最適な方法を実験しながら、授業をしていく必要にせまられています。なんて面白い時代になっているのかと、ドキドキしています。
ICTなんて必要ないのではないか!
ぼくはまだiPadを使った授業には懐疑的ですし、電子黒板もその良さは感じつつも、画面がまだ小さいと思っています。
そして教育産業でもうけようとする業者がウジャウジャしているのも、こんなの効果があるのか?と思ってしまうところでもあります。
でもデメリットはあっても、これらを今使わない理由はありません。実験しない手はありません。アンテナをはりつつ、ICTに振り回されず、最適な方法を探していくという姿勢、つまり実践と検証を大切にしたいと思います。
反転授業を見学してきた!
そんな中、昨日の夜にネットで予備校を開催されている田原真人先生から
見に来てみませか?と声をかけていただき、
オンライン授業を見学させていただきました。
反転授業を取り入れられており、事前にyoutubeに講義の動画を流しておき、
受講生がそれを見てから、オンライン授業に望むという方式です。
今までの授業では、授業内で講義を行ってから問題演習を行うことが多かったと思います。
授業中 授業中
講義(長い) → グループワーク
教師のターン → 生徒のターン
反転授業では講義部分を先に各生徒が自分の時間のあいた時間にみてからのぞみ、ネット授業では「まとめ」や「グループワーク」を中心に進めることができます。
家庭 授業中
講義(ネット) → グループワーク
教師のターン 生徒のターン
はじめから生徒が主役となるということで今までの授業とは逆になっていいることから反転授業といいます。
これがネットと親和性がとてもよかったのに驚きました。
ネット授業の様子
さてネット授業の様子です。
それぞれの画面はこのようになります。田原先生のペンがホワイトボードとリンクして、
参加者全体に共有されます。
田原先生が質問をすると、チャットボックスが賑やかになります。
田原先生が特定の受講生をさすと、その生徒がホワイトボードに記述できるようになりました。
まるで学校のリアルの授業!!
田原先生が簡単に授業をまとめたあとで、
田原先生がランダムに受講生をグループ分けして別の部屋に入れます(全てオンライン上です)。
そしてそのグループの中で、ホワイトボードを使ってみんなで協力をして1つの問題に挑戦していきます。
私は身分をかくしたまま参加させていただっき、受講生の方といっしょにグループに入れてもらい、
議論をしながら問題を解くことを体験しました。
まさかオンラインでここまでできるとは!?
田原先生自身、はじめての試みであったようで課題も見つかりました。
グループワークの時間が少し短いこと、チャットに打ち込みが少ない受講生がいたこと(タイプがおそい?)というオンラインならではの難しさがありました。
これはマイクを受講生が用意することによって、少しは改善されますが、リアルのワークと比べればそれはいろいろな点で効率が落ちてしまうのはわかります。顔も見えません。
それでも、ここまでオンラインでできるのか!ということに感激しましたし、
まだまだ初の試みですから、いろいろな改善でどうにかなっていくかもしれません。
デジタルネイティブらしくすぐに順応していたのに驚きましました(ぼくがとまどっていた)。
田原先生本当にありがとうございました。
ぼくもパートナー方式の教授法を今後も進めていこうと思いました。そして自分でもオンライン授業をしてみたいと思いました。
より詳しくは田原先生がまとめています。こちらも合わせて御覧ください。
気がついたこと
では知識教え込みの授業は必要ないのか?というとそうではありませんよね。
個人でできることは個人ですればいいという流れになっているわけなので、
授業内でする必要性が薄くなっているというのが特徴です。
ぼくも現在物理基礎の参考書を書いていますが、
youtubeでの動画授業や、
また参考書や本などの重要性は今までと変わらないことが考えられます。
皆様、また田原先生、何かこういう視点があるなどございましたら
ご指摘下さい!このサイトにまとめていこうと思います。
参考リンク
ぼくのフェイスブックページでICTの活用についての
情報などを更新しています。
パートナー方式の授業を取り入れたい方は私が実践方法を書きました。
理論はこちらで
アクティブラーニングについて知りたい方は小林先生のサイトを御覧ください。
田原真人先生のネット予備校のサイトはこちらです。
反転授業のサイトはこちらです。
ぼくも持っています。田原先生の参考書はこちらが面白かった。
今日の『科学のタネ』
最適な 教育道具を 使いたい