氷とカップで「空気の秘密」に迫る!湿度と露点の実験ガイド
湿度を測れる?氷と金属カップで「露点」を探る実験!
中学理科の「気体と湿度」に関する単元で取り上げられる「露点の測定」。この実験は、実は一見シンプルに見えて意外と難易度が高いもの。氷水を入れた金属製のカップに水滴がつきはじめる瞬間の「温度=露点温度」を測ることで、空気中の水蒸気の性質や湿度への理解を深めることができます。
ところが、冬場の乾燥した教室では、露点がなかなか観察できないことも…。そんなときは、授業前の環境づくりがカギになります。加湿器を使ったり、あらかじめ暖房を入れて室温を上げたりして、湿度と室温を高めておくと結露が発生しやすくなります。また、氷を準備するだけでなく、汲み置きの水(常温にした水)を使うことも忘れずに。氷を急速に入れると金属カップが冷えすぎてしまい、結露のタイミングを見逃してしまいます。
実験手順(冬場向け)
1. 授業前に室温と湿度を高めておく(暖房+加湿器)
2. 金属製のカップと温度計、氷、汲み置き水を用意
3. カップに氷と少量の水を入れ、ゆっくりかき混ぜながら温度を計測
4. コップの外側に水滴がつきはじめた瞬間の温度を記録(露点)
5. そのときの室温を合わせて記録
セロテープをカップの側面に貼っておくと、結露が発生しやすい場所としにくい場所の比較ができて、観察のポイントがよりはっきりします。
実際のデータを使って湿度を求めてみる
例えば、生徒の実験データで次のような結果が出ました:
• 6班の露点温度:9℃
• 飽和水蒸気量(9℃)=8.8g/m³(教科書のグラフより)
• 室温:21℃
• 飽和水蒸気量(21℃)=18.3g/m³
ここから、湿度は
湿度=(露点の飽和水蒸気量)÷(室温の飽和水蒸気量)=8.8÷18.3 ≒ 48%
一方、湿球・乾球温度計を使って計測した湿度は次の通り:
• 室温:21℃
• 湿球との温度差:7.5℃
• 湿度表から読み取った湿度:38%
実験値と比較して、10%程度の差がありました。こういったズレを「なぜ起きたのか?」と生徒と一緒に考察することで、観察力や科学的思考力が育ちます。
さらに、実際の湿度(38%)を使って飽和水蒸気量から逆算すると:
• 18.3g × 0.38 ≒ 6.95g/m³
この水蒸気量に対応する露点温度を教科書の表で調べると:
• 5℃(6.8g)~6℃(7.3g)の間
つまり、理論上の露点は約5.5℃前後となり、実験値(9℃)とのズレが確認できます。
結露の観察のコツ
結露の様子を観察する際には、セロテープの貼ってある部分とない部分を比較するのがポイントです。細かな水滴が「うっすらと白く」現れてくる瞬間を見逃さないように、生徒には「よーく目をこらして観察しよう!」と伝えると効果的です。
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