顕微鏡でのぞくトウモロコシの茎の断面―「顔」に見える道管と師管の不思議
中学1年生の植物のつくりと働きの単元で登場する「維管束」。その構造を実感させたいとき、トウモロコシの茎の断面観察はとてもおすすめです。観察していてまず驚くのは、道管と師管の配置がまるで「顔」のように見えること。目と口のような丸い構造が並んでいて、生徒たちは「かわいい!」「こっち見てる!」と盛り上がります。この見た目の面白さが、観察への集中を生み出します。中学生にとって、こうした「面白い」ポイントがあると、ぐっと理科が好きになるきっかけになります。
帽子を被った子供の顔に見えるらしいです。
さらに、この観察では単子葉類であるトウモロコシの維管束の特徴―
• 維管束が散在していること
• 維管束に形成層がないこと
―が明確にわかります。
双子葉類(例:ホウセンカやアブラナなど)と比較しながら観察させると、分類の視点や植物の構造に対する理解が深まります。形成層がないという点も、黒板や図だけでは伝わりづらいので、実物での確認はとても価値があります。
準備物と観察のコツ
準備するもの
• トウモロコシの茎
• カミソリまたはスライドカッター(教員が事前に用意)
• プレパラート、カバーガラス
• 顕微鏡(40倍~100倍程度)
• 水またはサフラニン液(着色したい場合)
手順とポイント
1. トウモロコシの茎を輪切りにし、できるだけ薄く切る(透明感があると◎)。
2. 水を1滴たらし、プレパラートにのせてカバーガラスをかける。
3. 顕微鏡で観察。維管束が「顔」のように見えることに注目させる。
4. 師管・道管の区別、形成層の有無を図と照らし合わせて確認。
生徒には、「トウモロコシは単子葉類だから形成層がない」「維管束が輪ではなくバラバラにある」などを観察とセットで覚えさせると定着が良くなります。トウモロコシの断面観察は、植物の分類の理解と興味を深めるのにぴったりな活動です。教科書では気づけない、植物の“顔”が見える楽しい観察。次の授業にぜひ取り入れてみてください。
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