+と−でなぜ逆?ホール効果のモヤモヤを一気に解決!(高校物理復習帳)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
電気が流れている導線の中で、見えないはずの粒子たちが「横に押しやられている」としたらどうでしょうか。しかもその動きから、どんな粒子が流れているのかまで分かってしまうとしたら…。今回は、そんな少し不思議で、とても役に立つ現象ホール効果について紹介します。
ホール効果について今日は説明します。よくお世話になっているサイトに、「高校物理 CG 動画 教材」があります。今回はこちらのホール効果の教材を授業で使わせてもらいました。とても使いやすいサイトで、生徒が復習用に見るときにも、とってもわかりやすくて良いと感じています。なんとキャリアも選ぶことができます。
ホール効果とは?横にずれる電気の正体
ホール効果とは、電流が流れている導体に磁場をかけると、電荷が横方向に偏る現象のことです。このときに生じる電圧をホール電圧といいます。ふつう電流はまっすぐ流れるイメージですが、磁場があると話が変わります。電荷は磁場からローレンツ力という力を受けて、横に押し出されてしまうのです。
キャリアが正の場合
向かって右側にローレンツ力を受けます。

キャリアが負の場合
こちらも向かって右側にローレンツ力を受けます。そのため電場の向きが逆になります。

どちらのキャリアでも電流の向きが同じ場合に、右側に偏るというのが面白いですね。
ここが重要なポイントです。ホール電圧の向きは、流れている粒子の種類によって逆になるのです。この教材では、その違いもとてもよく再現されていて、直感的に理解することができます。
ホール効果でよくある質問
電流の分野は、実際に導線の中を流れている−の粒子「電子」で考えても、仮想的に「+」の粒子の流れで考えても、電気量としてみると同じ結果になります。これはそれぞれの粒子がお互い逆向きに進んでいるためです。
またプラスの電荷のローレンツ力を考えるときに、+の粒子の場合は、左手の中指を電流ではなく+の粒子の動く向きとして、フレミング左手の法則をつかって力の向きを合わせることができます。−の粒子の場合には、同じように左手をとりあえず粒子の動く向きに向けておき、力の向きを考えた後に、その向きを180°ひっくり返せば問題はありません。
でも、上記のようにホール効果を考えるときは少し異なります。
なぜホール電圧の向きが逆になるのか?
ホール効果を考える場合には、+の電荷で考える場合と、−の電荷で考える場合に、ホール電圧の向き(+や−の貯まる場所)が異なります。左手をつかって確かめてみてください。例えば次のような場合…、

ローレンツ力を考えると…

よって右側にたまるものが異なります。

このように、+、−どちらの粒子もこの場合は右に力を受けて、右側に集まります。しかし、集まる電荷の符号が違うため、結果として電位の高低、つまりホール電圧の向きが逆になります。
このことから、問題を解くときには、その問題の条件で与えられた粒子が「+なのか−なのか」をよく確認する必要があります。
さらにこの性質は、実際の技術にも応用されています。例えば半導体の中で流れているのが、電子(−)なのか、それとも正孔(+のようにふるまう粒子)なのかを調べるときに、ホール効果が使われています。見えない粒子の正体を、電圧の向きだけで見抜けるというのは、とても面白いですね。
なおホール効果の名前は、(Hall effect)からきており、エドウィン・ホールという人の名前に由来します。英語の「穴」を意味するholeとは関係がないので、ここも混同しやすいポイントです。
目に見えない現象を“見える”ようにする科学
ホール効果は、一見すると難しそうな内容ですが、本質はとてもシンプルです。
・電流が流れる
・磁場をかける
・電荷が横にずれる
たったこれだけのことで、粒子の種類まで分かってしまうのです。
目に見えないものを、工夫して「見える形」にする。これこそが物理の面白さのひとつではないでしょうか。
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