大胆!放射線を出すブラシが売られている!【放射線について考えよう】
みなさんはもう多田将先生の「放射線について考えよう」を読まれたでしょうか。毎週金曜に公開されるとのことです。今回は現在公開されている第1章の内容について、ぼくの個人的な感想を書きたいと思います。
第1章はこちらからお読み下さい。
http://radiation.shotada.com/chapter/01/
まず目につくのが、第1章のタイトルデザインです。後ろのほうに原子をイメージさせるような粒子がふわふわと飛んでいます。グリーンのデザインも気に入りました。気合いの入ったサイトだということが伺えますね。
では中身についてです。今回の内容は原子の構造や、核子の核力(強い力)についてのお話です。中学2年生から化学で習う原子、また高校3年生の物理で習う原子の構造や強い力について、初めての方でも読めるように書かれています。
中でも面白かったのが、化学的な性質を決めるもの(原子番号)についての説明です。原子番号では陽子数に対応する電子の数と、その軌道と配列が大切になってくるというお話なのです。ちょうど私が中学2年生に化学を現在教えていることもあり、生徒にも読んでもらいたいなと思った内容でした。
…中略… 電子が主役ですから、化学的性質は電子の数(と配列)が決めているようなものなのです。そして、電子の数と陽子の数は同じなのですから、結局のところ、陽子数がその原子(元素)の化学的性質を決めていることになります。
元素記号は、大文字1字、または大文字1字と小文字1字とで表わされます。ヘリウムの元素記号はHeですが、その左上と左下に数字が書いてあります。左下の数字が原子番号と言って、陽子の数を表わしています。そのため、ある元素記号を持ってくれば、原子番号はもう決まっていますので、わざわざ原子番号を書く必要もありません。ですから省略されることが多いです。
周期表を見るときに、その並びや分子式や組成式の不可解さに疑問を持つと思いますが、それらの秘密と大いに関係の電子の存在について説明をしてくれています(中学化学ではこのあたりまでは教科書にも書かれておらず、とりあえず暗記ということになる内容です)。
この辺りから説明をしてくれるので中学2年生から読めるし、ちょっと先のことを理解したいというときに役立つ内容です。文章の中には、周期表がでてきたり、原子番号と必要な中性子数のグラフがでてきたり、教科書でよく見る図も出てきます。
また多田先生の文章で特徴的な比喩表現も、理解に大いに役立ちます。例えば「原子の構造はほとんど空っぽである」ということを理解させるための記述として、今私達がいる部屋を原子の大きさだとすると原子核の大きさは、
原子核と言えば部屋の中に置かれた髪の毛みたいなもの
というように表現されており、いかに原子がスカスカなのかをよくイメージできますね。
イラストもかわいらしく、また丁寧に作られています。ときにはちょっと不適切?(笑)な百合のお話がでてきたり、あれ!びっくり!と思うような放射線を出すポロニウムがアメリカでは静電気除去ブラシとして普通に売られていることなど、話が縦横無尽に展開し、最終的に原子について楽しく理解できるという内容になっていました。
ぜひお読み下さい。今から第2章が楽しみです。
多田先生の本では、「すごい実験」と「すごい宇宙講義」をまずはおすすめします。
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