なぜ船は浮かぶの?「簡易水圧実験器」でわかる浮力の世界

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

プールで深く潜ったとき、耳がキーンとしたり、体が締め付けられるような感覚を覚えたことはありませんか?あれこそが、水が物体を押す力、すなわち「水圧」です。でも、この水圧という力、目には見えませんよね。教科書の矢印だけで理解するのは意外と難しいものです。そこで今回は、目に見えない水圧を「可視化」し、さらに「浮力」の正体まで暴いてしまう、コストパフォーマンス抜群の実験器具をご紹介します。

安くて効果絶大!「水圧」を可視化する秘密兵器

今回ご紹介するのは、理科室の隠れた名品、「簡易水圧実験器」です。

ナリカなどの理科教材サイトにも掲載されていますが、構造はいたってシンプル。透明なプラスチックの円筒容器の両側に、やわらかいゴム膜が貼られているだけの装置です。「たったこれだけ?」と思うかもしれませんが、シンプルだからこそ、自然の法則がクリアに見えてくるのです。

使い方はとても簡単。水槽に水をいれて、そこにこの装置を沈めていくだけです。

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水中に沈めると、水圧によって両側からゴム膜がググッと押されて内側に凹みます。これにより、「水の中にある物体には、横方向からも力がはたらいている」という事実が、誰の目にも明らかになります。

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ここが面白い!回転させてわかる「浮力」の正体

次に、ここからがこの実験器の真骨頂なのですが、水中でこの円筒容器をくるっと90度回してみましょう。

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すると、横方向だけでなく、上下方向の圧力も見ることができるようになります。

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このように上下にも水圧がはたらいており、結果として水中では四方八方から水圧がはたらいていることがわかります。さらに、上下のゴム膜の凹み方をよーく見比べてみてください。上のゴムよりも、下のゴムのほうが凹みが大きいことに気づくはずです。

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これは、水圧が「深さ」に比例して大きくなるからです。深い場所にある下の面の方が、より強い力で押されているのですね。この現象から、物理学の重要な法則が導き出されます。 上から押される力(弱)と、下から押し上げる力(強)を足し合わせると、どうなるでしょうか? そう、差し引きで「上向きの力」が残りますね。

これこそが「浮力」の正体なのです。「浮力=水圧の合力」。こう説明すると、中学1年生でも直感的に理解できるようになります。「なぜ重い船が水に浮かぶのか?」という大きな謎も、この小さな実験器具が解き明かしてくれるのです。

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