感染経路を調べよ!シミュレーションを使ったSEPUPの授業の進め方

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 8月16日から18日の間に行われた、日本SEPUP研究会主催の「アクティブラーニングとSEPUP」の3日目は、米国講師による中高生を招いたワークショップが開かれました。

オールイングリッシュの実験講座に参加する良い機会なので、私の学校の生徒15名を引率しました(^^)

ワークショップの内容はLife Scienceの分野で、Who Infeted Whom?という、感染者を探すシミュレーションの教材でした。

はじめに、病原菌やウィルスがどのように人と人の間で感染を引き起こすのかについての、英語の文章を読みます。次にその文章から、要点を抜き出して、2人のペアで話し合いをし、その後班の中で話し合い、これだというものを発表します。ここで今回の授業のテーマを共有します。

次にある中学校で集団感染が起きたという、新聞時期を読みます。これは「もしも」というお話で架空のことですが、この文章を読んで、「誰がうつしたのか」を読み取ります。

次に机の上に、複数の登場人物と、それらの人物が所属していた部活動や、乗っていたバス、またいつ症状が出たのか、または出ていないのか、という情報がかかれたカードのようなものが渡されます。

私達が疫学者のようになり、予めインタビューなどによって手元に集められた情報から、感染ルートを探していくというワークショップがはじまります。

SEPUPではまず生徒に問題を与えます。知識から与えるわけではないということが、ここまで体験してよくわかりました。

ワークショップでは、感染経路を考えて、カードを並び替えて、絵にかいてまとめていきます。はじめは隣の人とペアになり、2人で考えていきます。

難しいのは症状が出ていなくても、感染している人がいる場合があるので、グループによっていろいろな感染ルートが組み立てられます。

感染経路を予想したら、実際にある人が感染しているかどうかがわかるテストが、4人だけ行えるという情報を与えられます。なぜ4人なのかというと、このテストを行うための費用が高価だからといっていました。

テストの方法は、それぞれの人の血液のサンプル(実際は透明な液体)が入った小瓶を容器に写し、その血液に試薬(実際は酸かアルカリで反応する試薬)を入れて、色が出たものが感染しているというようなシミュレーションでした。

このテストを行い4名の感染者がわかったら、もう一度自分たちが考えた感染ルートを、考えなおして、今度は班の中で4人で話し合いをもう一度行います。

その後、感染ルートの発表や、家族含めて隔離をする必要があるのかどうか、もしこの感染症が死をもたらすほどの症状がでる感染症だったら?、あなたが学校に行くときと行かないときの判断の境目は?

など様々な質問について英語をつかって話し合ったり、発表をしたりしました。

アンケート結果を見ると、参加した生徒は、5段階評価で、5の評価が15名、4が3名という結果となりました。また感想としては、

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といような感想がありました。

すべての答えに、これである!という答えが無いのがSEPUPの教育プログラムの特徴です。今ある情報を総合的に考えて、トレードオフの関係、こっちを選ぶと、デメリットまでも受け入れるというような、複雑な問題について、合意形成を行っていきます。

実はこのワークショップの前には、参加した教員は生徒が受けるものと同じワークショップを事前に受けており、どのようなものなのかは体験済のもので、それをどのように生徒に教えるのかということや、生徒の反応を見るために行われたものです。

生徒の様子をみると、いつもの授業とは異なる流れに戸惑いつつも、英語をよくきいて、積極的に他者に関わり、討論をして、発表までしている姿が印象的でした。

私達教員がSEPUPの授業の流れを学ぶことや知ることは、今後の授業に大きな影響を与えることがよくわかった3日間でした。

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