明日からできる!「白黒反転投影法」で、普通の黒板が電子黒板に変わる裏技
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
先生方、こんにちは。皆さん、日々の授業準備、お疲れ様です。理科の授業は、いかに生徒の目を輝かせ、深い学びへと導くかが勝負ですよね。そのためには、板書ひとつにも工夫が必要です。複雑な図形やグラフをいかに正確に、そして手早く黒板に描くか。これは理科教師にとって永遠の課題ではないでしょうか。
最近、私はある講演で、高価な機材に頼らず、身近なツールでこの悩みを解決する画期的な方法を紹介しました。その名も「白黒反転投影法」!
iPadや電子黒板を導入する学校が増えていますが、「果たして生徒一人ひとりにタブレットを持たせる意味があるのだろうか?」「何百万もする電子黒板、使いこなせる自信がない…」と感じている先生も少なくないはずです。社会や業者の声に押され、生徒が置き去りになっていないか不安になる気持ち、痛いほど分かります。
しかし、黒板での授業に限界を感じているのもまた事実。新しいテクノロジーが、教育の可能性を広げることは間違いありません。そこで今回は、皆さんがすでに持っている機材を使って、まるで魔法のように黒板を電子黒板に変身させる、とっておきの裏技をご紹介します。これを知れば、明日からの授業準備が劇的に変わりますよ。
電子黒板に不満はありませんか?タブレット端末(iPad)や電子黒板・・・。ICT(情報通信技術)を活用しようということが、現在先進的な学校にて取り入れられています。でも
iPadを生徒一人一人に持たせることが本当に効果的なのか?
また
ウン百万もする電子黒板を導入してそれが使いこなせるのか?
教育関係業者の猛プッシュもあり、社会からのニーズや、学校の広報としての役割も有り、生徒不在で進んでいるのかなという感じもいなめません。生徒にとって有益になるのかどうかがまだまだよくわかりません。
だからといって、今の黒板に満足なわけではんく、これらの技術が新たな教育を作り出すためには必要なことはたしかです。
今の設備でできる!白黒反転投影法!
本校では面白いアイデアをお持ちの先生方の取り組みにより、現在ある機器、具体的にいえばプロジェクターとiPad(または通常のパソコンでも可)を利用して、まるで普通の黒板が電子黒板のようなる使い方を考案した先生がいます。
実際に授業で何度も使われており、生徒からの評判も良いとのことです。研究会を立ち上げて見させていただいた所、このアイデアには驚きました!
英語での導入例
これは本校の英語教師、T先生発案です。iPadのプレゼンテーションソフト(keynote)のバックグラウンドに黒、そして白で文字で英語の文章(教科書などのもの)をあらかじめ作っておきます。繰り返しますがポイントは
黒背景に白!
ということです。これをそのまま黒板に投影をします。すると、、、
黒字に白だから、まるでチョークでかいたようにうつります。(各学校で導入されるときには高さの調整を考えて作ってみて下さい)そして黒板の上に黄色や白のチョークで説明をしながら書き加えていくという方法です。電気を消さなくても十分見えるのがまた良いですよね!
英文の描いたスライドを複数用意しておけば、いろいろな文章がパット映しだすことができます。T先生が用意したのは自前のiPadだけです。プロジェクターは学校のもの。アプリはキーノートというプレゼンテーションアプリです。iPadではなくても、他のタブレットでも可能ですし、タブレットさえいらず、ノートパソコンでも可能な技です。
電子黒板なんて高価な道具を使わなくてもこれなら今までの環境のまま、すぐに導入できてしまいます。
英語のほかにも、現代文や古文などの文章を書く教科では書く時間を大幅短縮でき、絶大な高価が発揮されます。
生物での導入事例
生物でも同様なことができます。次の板書画像から、どこが白黒反転投影法で載せている文字だかわかるでしょうか。
朝倉直人先生の事例
さて、どこがプロジェクターで写したもので、どこが手書きの部分かわかりますか?
ぼくはこの、「やってみました!」の報告をから受けたときに、どこに使っているのかな〜と思いました。それともこの写真には写っていないのかとさえ・・・。よく見たら、ココ!心臓の部分なのです!
チョークで書いたものと一心同体になっていて、違和感がなかったためわかりませんでした。黒板に白字で投影する方法は、教室を暗くしなくても、こんなにはっきりつうつります。
どんなデータを使ったの?
たしかに、やたらにうまい感じになっていますが、これがプロジェクターで投影したデータだそうです。
もともとは白地であった画像を白黒反転させたんだそうで、こんなに精密なものもいけるんだということを見事に証明してくれました!これはすごい!!実は心臓の絵なのですね。今までは心臓の絵をていねいに黒板に写していたそうで、ここで時間をくっていたとのことでした。どこで使えるのか!これはアイデア勝負の技になってきますね。
数学での導入例
英語のT先生の使い方に感銘をうけた数学のM先生が考案したのがこちら。
黒板に方眼を投影。これはT先生と同じ手法で作っています。これで何をするかというと、、、、。
ここにベクトルを書いていきます。ベクトルの1時間目の授業で、有向線分とベクトルの違いを示した授業でした。これなら平行四辺形なども簡単にかけますよね。
生徒にとって非常にわかりやすくなる工夫です。黒板に薄く方眼があるものがありますが、生徒にはよく見えません。方眼が使いたいときだけ映し出せばいいという、この使い方に驚きました。
しかも方眼がじゃまになったら消してしまえばいいんですね。
物理での導入例
私の教えている科目、物理でも導入が可能です。私が使っているのは、波のときの作図で使用しています。
これを黒板に投影して、上から波を重ねあわせていきます。
授業準備に役立つ!白黒反転のやり方と手順
この方法を導入するための準備は、プロジェクターとパソコン(またはタブレット端末)
の2つだけでできます。そして教材の準備については、今まで作ったものも白黒反転して使えば導入できるのではないでしょうか。
Windowsでの白黒反転操作法
Windowsユーザーの先生は、以下の手順で簡単に画像を白黒反転させることができます。「アクセサリ」から「Snipping Tool」を開き、画面をキャプチャします。
キャプチャした画像をJPEG形式で保存します。
「ペイント」で保存した画像を開き、反転させたい部分を範囲指定します。全体を選択する場合は、Ctrl + A を押してください。
範囲指定した場所で右クリックし、「色の反転」を選択すれば完了です。
Macでの白黒反転操作法
Macユーザーの先生は、以下の手順で白黒反転が可能です。まず、スクリーンキャプチャで画像を切り取ります。切り取った画像を「プレビュー」で開きます。メニューバーから「ツール」→「カラーを調整」を選択します。
ウィンドウが表示されたら、右側にある白いスライダーを一番左へ、左側にある黒いスライダーを一番右へと動かします。
これで、まるでチョークで描いたような画像が完成します。
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