一瞬、水が空中で止まる?「慣性の法則」をスマホ連写で捉える実験(ナリカサイエンスアカデミー)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
「パンッ!」という乾いた音と共に、風船が割れる瞬間。皆さんは、その中に入っていた「水」がどうなるか、想像できますか?
重力に従ってすぐにバシャッと落ちる? それとも…?
今回は、そんな一瞬の出来事を捉える実験や、目に見えない力を感じる実験が盛りだくさんだった講座の様子をレポートします。物理という科目が、単なる計算問題ではなく、目の前で起こるドラマチックな現象であることを感じていただければ幸いです。

「体感」することで物理はもっと面白くなる
教員向けの「おてがる物理基礎講座」、後期の第1回目は「力学2」をテーマに開催しました。前期とはガラリと内容を変え、今回も明日からすぐに授業で使えるような、手軽でインパクトのある実験をいくつかご紹介しました。
力学台車とBeスピを使った実験:速度や加速度をデジタルで測定し、運動の法則をグラフ化します。
イージーセンスの単振動の実験:バネの揺れをセンサーで捉え、エネルギーの移り変わりを可視化します。
アルキメデスの原理が体感できる実験:お風呂で体が浮くあの感覚を、定量的に測定して納得してもらいます。
慣性の法則を確かめる実験:電車が急ブレーキをかけた時に倒れそうになる、あの力を検証します。
どれも高価な装置ではなく、手軽に導入できるものばかりですが、教科書の公式を「現実の動き」として納得するには十分な威力を持っています。

参加された先生方からは、熱心な感想をたくさんいただきました。




アンケートでは「大変良かった」が5名、無記入が1名という高評価をいただき、忙しい毎日の中で時間を作って集まってくださったことに感謝の気持ちでいっぱいです。
時が止まる?水風船で見る「慣性の法則」
今回の講座で特に盛り上がったのが、水の慣性(かんせい)を確認する実験です。
「慣性の法則」とは、「止まっている物体は止まり続けようとし、動いている物体は動き続けようとする」という性質のことです。これを水風船で確かめてみました。
「超速300連射」というスマホアプリを使って、水風船を針で突いて破裂させる瞬間を撮影します。すると…。

ご覧ください。風船のゴム膜が割れてなくなっているのに、中の水は一瞬、球形のまま空中に留まっているのです!
これは、中の水が「その場に留まり続けようとする性質(慣性)」を持っているからです。ゴムがなくなっても、重力によって落下し始めるまでにはほんのわずかな時間がかかります。その一瞬の間、水は風船の形のまま、まるで時が止まったかのように空中に浮くのです。

このように、風船が破裂する瞬間の様子を全員で確認し、歓声が上がりました。
教科書や資料集の写真で見たことはあっても、実際に目の前でやってみるのとでは大違いです。風船が割れる音、水がバシャッと落ちる迫力、そしてスマホ画面で捉えた決定的瞬間。こうした五感を使った「体感」こそが、理科の授業では何よりも大切だと改めて感じました。
本が繋いでくれた「出会い」に感謝
今回の講座には、なんと深夜列車に乗って愛知県から来ていただいた先生もいらっしゃいました。遠方からのご参加、本当にうれしかったです。
お話を伺うと、私の拙著「ぶつりの123」をお持ちで、普段の授業の参考にされているとのこと。
本を執筆している時は、産みの苦しみで大変な思いもしましたが、こうして後になって実際に活用してくださっている先生にお会いできると、「あの時頑張って本当に良かった」と心から思えます。本という媒体が、物理教育への熱意を持つ先生方と私を繋いでくれました。
物理は数式ばかりで難しいと思われがちですが、実験を通してその「意味」が見えた瞬間、世界の見え方が変わります。これからも、そんな驚きと発見のある授業作りをサポートしていきたいと思います。
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