ペットボトルの中に夕日を作ろう!家庭ですぐにできる科学のレシピ

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ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。

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 なぜ太陽は夕方になるとオレンジ色や赤色になるのでしょうか。これには光の「散乱」という現象が深く関わっています。今回はこの夕日の仕組みがよくわかる実験の紹介です。また粒子の運動を顕微鏡でのぞいてみましょう。

科学のレシピ

用意するもの

ペットボトル(1.5リットル)2本、牛乳、水、懐中電灯

方法

1 ペットボトル2本に水をいっぱいになるまで入れます。

2 1つのペットボトルには牛乳を数滴入れて、全体が少し白くなるくらいまで調整をします。あまり入れすぎでもうまくいきませんので、少しだけ入れて試してうまくいかなかったらまた入れて、というのが良いでしょう。

3 底に懐中電灯をくっつけて、何も入れていないペットボトルを懐中電灯で照らします。これは暗いところでやりましょう。

4 次に牛乳が少し入ったペットボトルの底に懐中電灯をつけてみましょう。3と4で比較をしましょう。

水の入ったペットボトルの場合には、光がそのまま通過して反対側のキャップの部分まで到達します。しかし牛乳が少しとけた水では、白からオレンジ色、赤色へと、グラデーションが見えるのがわかります。そしてキャップ付近では赤色になります。

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右から懐中電灯で照らしています。右が白色、左がちょっとオレンジ色になっているのがわかりますか?カメラの性能のせいで色がよく出ていませんが、かなりきれいに見えます。

目でみないとわかりません!ぜひお試しください。

なんで?

牛乳の中にはいっている脂肪などの粒が、水中の中を漂っています。これをコロイド溶液といいます。このようにゴミがふわふわと漂っている溶液の中を光が通ると、光の屈折率の関係で、波長の短い青色、緑色、などが散乱して逃げて行ってしまうことによります。結果として波長の長いオレンジ色や赤色のみが残り、到達します。

これは夕日の原理と同じです。空気の中にもたくさんの微粒子が飛んでいて、太陽光はその中を通ってやってきます。昼間は真上から太陽光が入ってくるので、太陽光は短い距離を進んできます。

大気中で散乱された青が空全体に広がって見えます。しかし夕方になると太陽の光は斜め方向から入ってくるため、空気の中を長い距離進んで私たちまで到達します。すると青や緑などの色が散乱されて逃げてしまい、結果として赤やオレンジ色が到達するため、夕日は赤っぽく見えるというわけです。

実際に牛乳が溶けた液体を顕微鏡で見てみると、さらに面白い現象が見られます。150倍くらいの顕微鏡で見ると、牛乳のタンパク質の粒子がみえます。そしてその粒子があっちにふらふら、こっちにふらふらと動いています。まるで生きている見たい。これをブラウン運動といいます。詳しくはこちらで調べてみて下さい。理科では、散乱については波動で、ブラウン運動については、熱力学で登場をしますね。

むさしのサイエンスフェスタにいってきた

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先日は「むさしのサイエンスフェスタ」に出展をしてきました。テーマは「宮沢賢治を科学する」というもの。宮沢賢治の時代、今からおよそ100年前は冷夏の年が多く地球は寒冷化に向かっているということが言われていました。

これは大きな火山の噴火により、その火山灰が偏西風にのって地球全体を覆っていたことにより日射が届きにくくなったためという
説があります。(加えて東北地方では「やませ」の影響も大きかったそうです。)

そんな苦難の時代を生きた賢治は「グスコーブドリの伝記」という作品の中で、寒冷化の様子や、また日の光が銅色(茶色)になったということが書かれてします。

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グスコーブドリの伝記より

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グスコーブドリの伝記より

これは先ほどみた夕日の実験と同じことが起こっているためです。次はペットボトルを使って、虹作りに次は挑戦してみてはいかがでしょうか。

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