「像はどこにある?」を体感で理解させる─ハーフミラーを使った鏡の像の実験(中1鏡と光)
鏡に映る像が「どこにあるのか?」という問いは、理科の授業では定番ながらも、実際に生徒に納得させるのがなかなか難しいテーマです。教科書には「物体と同じ距離だけ鏡の中に像がある」と書かれていますが、生徒にとっては、なぜそうなるのか、そもそも“像がそこにある”ということがどういうことなのか、感覚的に腑に落ちにくいところです。
さらに難しいのは、授業中に「見てごらん」と言っても、鏡をのぞく角度が違えば見え方も違い、そもそも見えている“像”がどこにあるのか、共有するのが至難の業です。あちこちから首を突っ込んで「ここから見て」「そこじゃない」となると、それだけで授業のテンポが崩れてしまいます。
そんなときに非常に役立つのが、「ハーフミラー」を使う方法です。この方法は、小森栄治先生に教えていただきました。ハーフミラーとは、光を一部反射し、一部透過する特殊な鏡で、物体と像を重ねて見ることができるという優れモノです。
実験準備と手順
準備するもの:
• 単三電池 2本(あるいは同じ見た目の小物)
• ハーフミラー(反射・透過両用のアクリルミラーなど)
amazonで買いました。ハサミでキレてそれなりの強度があります。
• 定規やメジャー(像と物体の距離測定用)または台紙
ハーフミラーですが、鏡と透明シートの中間のような物体です。
実験の手順:
1. 机の上に電池を1本置きます。
2. 電池の手前にハーフミラーを立てます。
3. ハーフミラーを通して電池の像が見えることを確認します。
4. ハーフミラー越しに見える“像”と、奥に置いた電池がピッタリ重なる位置を探して、ゆっくり動かして合わせます。
5. 重なったら、その状態で上から見下ろし、電池(物体)とハーフミラーとの距離、およびその位置関係を確認します。
こちらは説明用の動画です。ご利用ください。
実験のポイントと指導のコツ
この実験の肝は、「物体と像が重なって見える=像はその位置にある」と、視覚的に納得させられることです。ハーフミラーによって、“現実の電池”と“鏡像”を同じ空間に同時に見ることができるので、生徒は実感をもって「鏡の中の電池は、実際にはこの位置にあるのだ」と理解できます。
授業でこの実験を行う際は、全体実演のあとに生徒自身にペアやグループで試させると効果的です。また、像と物体の距離を実際に測らせ、鏡面との関係を確認させることで、数値的な裏づけと感覚的理解の両方が得られます。
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