紙コップで200年前の大発見を再現!光が波である証拠を自宅で見てみよう(ヤングの実験)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

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「光はまっすぐ進む」。太陽の光も、懐中電灯の光も、たしかにそう見えますよね。では、こんな問いはどうでしょう。「光は粒ですか? それとも波ですか?」これは、ニュートンとホイヘンスが17世紀から争い続けた、物理学最大の謎のひとつです。そしてその答えを、紙コップとカッターと2000円のレーザーポインターで、自宅で確かめられるとしたら驚きませんか?今日紹介するのは、光が波であることを目で見て確かめられる「光の干渉」実験です。難しそうに聞こえますが、小学生のお子さんと一緒に楽しめますし、学校の授業で「波って何?」を体感させるのにもぴったりです。さっそく始めましょう!

なぜ「波」だとわかるの? 実験のしくみ

この実験のキモは、カッターで作る「1本の細いすき間」です。波には、狭いすき間を通ると、その後ろに回り込んで広がる性質があります。これを「回折(かいせつ)」といいます。海の波が防波堤のすき間から扇形に広がる映像を見たことがある人もいるかもしれません。光も同じことをするのです。

そして、紙コップに開けた「1本のキズ」は、実は「とても近い距離にある2つのすき間」のように働きます(カッターの刃の厚みや、紙の断面のデコボコが影響します)。それぞれのすき間を通って「回折」した光(波)が、壁でお互いに重なり合うのです。

波の山と山が重なれば強め合って明るく(明線)、山と谷が重なれば打ち消し合って暗く(暗線)なります。これが、今回観察する「干渉縞(かんしょうじま)」の正体です。もし光がただの「粒」なら、すき間の形がそのまま映るだけのはず。縞模様が見えることこそ、光が波の性質を持っている証拠なのです。

おうちでできる!「光の波」を見る科学のレシピ

【用意するもの】

  • レーザーポインター(プレゼン用などでOK。安いものなら2000円前後で手に入ります)
  • 紙コップ
  • カッター

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なお、レーザーはレーザー墨壺が結構おすすめです。

【手順】

  1. 紙コップの底に、カッターでまっすぐな切れ込みを1回だけ入れます。(これが「スリット」の代わりになります)スクリーンショット 2015-09-28 7.49.58
  2. 部屋を暗くして、紙コップの内側から、底の切れ込みに向かってレーザーポインターの光を当てます。
  3. 壁に映った光の模様を観察します。(壁と紙コップの距離は50cm〜1mくらいあると見やすいです)

さあ、何が見えましたか?


壁には、レーザーの点がそのまま映るのではなく、ぼやーっと左右に広がって、明るいところと暗いところが交互に並んだ「縞模様(しまもよう)」が見えるはずです。おめでとうございます!それが「光が波である」ことの動かぬ証拠、「干渉縞」です。

この現象は、約200年も前にイギリスの科学者トマス・ヤングが行った有名な実験(ヤングの実験)と本質的に同じことをしています。あなたは今、歴史的な実験を紙コップで再現したのです!ヤングはこの実験で「光は波だ」と主張しましたが、当時の学者たちにはなかなか信じてもらえませんでした。それほど「光が波である」という事実は、人間の直感に反する驚くべき発見だったのです。

紙コップと壁の距離を離してみましょう。縞模様の間隔はどうなりましたか?おそらく、間隔が広がって見やすくなったのではないでしょうか。この「縞の間隔」と「スリットから壁までの距離」を測ると、なんと光の波長(波のひとつの長さ)まで計算できてしまうんですよ。

【!!安全のための最重要ルール!!】

実験はとても楽しいですが、一番大切な注意点です。レーザーポインターの光は非常に強いため、決して直接のぞき込んだり、人の目に当てたりしないでください。必ず、壁に反射した光だけを観察するようにしましょう。

縞模様から「光の波長」を計算してみよう

いかがでしたか?不思議な縞模様が観察できましたね。


縞模様の間隔は1.5センチメートル、スクリーンまでの距離は5.863メートルです。これらの値からレーザー光の波長が求められます。赤いレーザーポインターなら、波長はおよそ600〜700ナノメートル(1ナノメートルは100万分の1ミリメートル)。あの細い縞模様の中に、そこまで精密な情報が隠されているとは、なんとも驚きですね。またヤングの実験について、スクラッチを使って触って学べる教材を作ってみました。その動画がこちらです。

最後に映像授業にしてヤングの実験について解説をしました。もっと詳しく知りたいという人は、こちらをご覧ください。

今回は、紙コップとレーザーポインターだけで光の干渉縞を観察する方法を紹介しました。「光は粒でもあり、波でもある」という、物理学の不思議な世界の入り口を、ぜひご家庭で、または教室で体験してみてください。
学校なら教材用のレーザーと本物のスリットを使って、縞模様の間隔から光の波長を計算してみるのも面白いですね。また、音の干渉(2つのスピーカーから同じ音を出すと、場所によって聞こえたり聞こえにくくなったりする)と合わせて見せると、波に共通する性質がより深く理解できるのでおすすめです。

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