スマホで見える!? リモコンの赤外線と保冷バッグの科学【ZIP(日本テレビ)科学監修】

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

2025年5月26日(月)朝、日本テレビ「ZIP」の人気コーナー「目からウロコ!早知りテクニック」にて、科学監修を担当させていただきました。今回取り上げられたのは、生活の中のちょっとした疑問や工夫についての2つの話題。それぞれの現象に隠された“科学のしくみ”を、番組を通して解説しました。

反響も大きく、「もっと詳しく知りたい!」という声も多かったため、ここでは放送内容の補足をかねて、科学的な視点からもう少し掘り下げてみたいと思います。授業や自由研究のネタとしてもおすすめです。

【1】リモコンが反応しない…原因は?そしてスマホで確認できる!?

「テレビのリモコンが効かなくなった…これって電池切れ? それとも壊れた?」
そんなときに使える“見えないはずの光を見えるようにする”裏ワザがあるんです。

実は、テレビのリモコンは「赤外線(IR)」という光を出して情報を送っています。
この赤外線、人間の目では見えません。でも、スマートフォンのカメラを通すと見えることがあるんです!

▼試してみよう!
1.リモコンのボタンを押しながら、スマホのカメラで先端を映す
2.赤くチカチカと光って見えたら → 赤外線が出ている証拠(リモコンは生きている)
3.光らなければ → 電池切れ、またはリモコンの故障の可能性大!

🔍 注意点:
スマホの「内側カメラ(自撮り用)」は赤外線をカットすることが多いため、**外側カメラ(背面)**で見るのがコツです!詳しくはこちらの記事をご覧ください。

裏ワザ発見!iPhoneであることをすると赤外線が見える!(赤外線の世界をのぞいてみよう!)

【2】保冷バッグを重ねると、なぜ冷たさが長持ちするのか?

ピクニックや買い物で大活躍の「保冷バッグ」。この保冷バッグを二重に重ねると保冷力がUPするというワザ、ご存じでしたか?

▼その理由は「熱の移動」にアリ!

熱が伝わる仕組みには3つあります。
•伝導(接触):物体が直接触れて熱が移動
•対流:空気や水などの流れによる熱移動
•放射:赤外線などの電磁波による熱伝達

保冷バッグを2重にすると、間に空気の層ができ、これが断熱材の役割に!つまり、熱の「伝導」を抑えることができ、冷たさをより長く保つわけです。

さらに、バッグ内外の空気の動きも抑えられるので、対流による熱移動も軽減。そして、アルミ素材などで赤外線(放射)を反射する効果もあるため、放射の影響も少なくなります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

タオル vs 魔法瓶 vs 保冷バッグ!?~冷たさをキープするしくみを科学する~

「見えないものを“見る”」「身近な道具を“深掘りする”」
これらは科学の基本でもあり、授業や日常生活の中で生徒たちが“なるほど!”と感じる瞬間です。

テレビ局を侮ってはいけないですね。実際に実験をしてくれていました。凍らせたペットボトル2本を1枚保冷バック、重ねた保冷バックの中に入れて、一定時間後に、溶けた水を捨てて、氷の質量を測るという方法で検証していました。素晴らしいです。

科学は、テレビや冷蔵庫の中にも、ランチバッグの中にもあります。「知ることで、見える世界が変わる」――まさに今回のテーマにぴったりな回でした。放送後にご興味を持っていただいた皆さま、ぜひ上記の解説も参考にしてみてください!

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