波って何者!?シーツと縄で楽しく実験!【スマホで物理 #01】
スマホで物理
スマートフォンの画面でもわかりやすい構成を目指して、スマホで物理を学ぶコーナーを連載することにしました。今日はその第一回目、波の性質から見ていきましょう。目次はこちらからどうぞ。
波の性質
私たちの身の回りには、波という現象がたくさん存在しています。たとえば、海の波、音、光、さらにはスマートフォンの電波も波の一種です。しかし、これらの波には「物質」とは異なる特殊な性質があります。
波の動きと性質
まず、海の波をイメージしてみましょう。海の波は水面にモコモコとした形を作りながら動いています。つい波の形自体が動いているように感じてしまいますが、実は「波の形」と「波を伝えているもの(物質)」は異なる動きをしています。
「え?どういうこと?」
では、実験してみましょう!
実験:波を作ってみよう!
シーツや縄跳びの縄を用意して、端を持ち、手を上下に素早く動かしてみてください。すると、シーツや縄に波ができ、スーッと右に伝わっていくのがわかるはずです。
シーツを持って振ってみる!
ポイント
- あなたの手が動かしているのはシーツや縄の一部ですが、波の形は前へ進みます。
- しかし、シーツや縄の各部分は元の位置に戻ってきます。
この現象こそが「波」の正体です。
次にシーツの適当な場所に目印となるクリップをつけて、クリップの動きに注目してみてください。お友達にスマートフォンなどで撮影をしてもらうと、より良くわかると思おいます。
次の図のA(●)がクリップだと思ってください。もう一度手を上下に振って、1つの波を起こしてみましょう。
さっきと同じように波ができ、波の形が右方向へと移動していきます。ここで、クリップ(●)の動きに注目をしてください。クリップは波の形と一緒に右に動いていきません。クリップは波がくると上から下へと、その場で上下に往復するだけです。また手元の動き(●)から見てみると、手元(●)が上下に振動すると波が起こり、順番に波が伝わって、クリップ(●)に到達。同じようにクリップも上下に振動していることがわかります。
また次の図を見て下さい。
カラフルなクリップが描かれています。1つ1つがシーツにつけられたクリップだと思ってください。上から下の方の図へとおっていくと、「波の形」が右側に動いていることがわかります(図では「山」と書いてある盛り上がった部分)。
次にクリップ1つ1つに注目をしてください。例えば一番左にある赤いクリップは,真ん中から上、真ん中、下、真ん中へと上下に振動していることがわかります(右に動いているわけではありません)。そして山という部分がくると、赤いクリップは上にあがり、その後、青いクリップが上に、そしてオレンジのクリップが上にと、振動が少しずつ隣のクリップに伝わっていくことがわかります。
波の正体とは?
波にはその波を伝える物質が必要になります。この物質のことを媒質(ばいしつ)といいます。例えば、海の波の媒質は?
水分子です。
また、シーツに起こった波の媒質は?
シーツを作っている糸です。
実際に動きの中で波の伝わる様子を見てみましょう。こちらは東京書籍「新編物理基礎」のデジタル教科書の資料編から作成したものです。
波は「物質そのもの」が移動しているのではなく、「物質が順番に振動することで伝わる現象」なのです。シーツや縄のように、ある一点が動くと、その隣の部分も影響を受け、連鎖的に振動が広がっていきます。
たとえば、
- 音の波:空気中の分子が振動しながらエネルギーを伝える。
- 水の波:水の分子が上下に振動しながら波の形を作る。
- 光の波:電場と磁場が振動しながら進む(電磁波)。
このように、波は私たちの生活に欠かせない現象なのです。
まとめ
- 波は「物質が運ばれる」のではなく「エネルギーが伝わる現象」である。
- 物質が順番に振動することで波が伝わる。
- 波の種類によって、振動の仕方や伝わり方が異なる。
次の章では、波の種類や、具体的な波の性質についてさらに深掘りしていきましょう!
続きます。
参考
・実際に科学部と一緒に作った次の装置を御覧ください。おもちゃのバネを連ねて、そこに振動を起こしてみるというものです。振動が次々に伝わっている様子がわかります。
奥のほうへと振動が伝わっているのですが、リング一つ一つが奥へと移動をしているわけではなく、リングはその場で振動をしているだけです。