行きは時速30km、帰りは時速20km、平均の速さはいくら?(大人も間違える割合の妙)

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

ひっかけ問題!?平均の速度を求めよう!

中学校のほぼ理科の計算でつまずきが見られるのは、ほとんど割合計算です。それくらい割合計算が多くて、苦手な生徒も多いところです。例えば次のような問題はどうでしょうか。

問題 自転車で、家から駅まで往復をします。行きは時速30km、帰りは時速20kmで移動しました。このとき、往復の平均の速さは何km/hでしょう?なお家から駅までは一直線上で、それぞれ速さは途中で変わらないものとします。

「簡単じゃん!行きと帰りの速度の平均だから…(30+20)÷2 = 25km/h でしょ?」と思った人、実はそれ間違い。

ヒント:行きと帰りの時間を考えよう!

実は、行きは速いのでかかる時間が短く、帰りは遅いので時間が長くなる。だから単純に速度を足して2で割るのではなく、ちゃんと計算しないといけないのですね。

では、詳しく計算してみましょう。

計算手順

1. 片道の距離をd kmとする。
2. 行きの時間
\[ t_1 = \frac{d}{30} \text{ 時間} \]
3. 帰りの時間
\[ t_2 = \frac{d}{20} \text{ 時間} \]
4. 往復の総距離
\[ 2d \text{ km} \]
5. 往復の総時間
\[ t_{\text{total}} = \frac{d}{30} + \frac{d}{20} \]
通分すると:
\[ t_{\text{total}} = \frac{2d}{60} + \frac{3d}{60} = \frac{5d}{60} = \frac{d}{12} \text{ 時間} \]
6. 平均の速度
\[ V_{\text{avg}} = \frac{\text{総距離}}{\text{総時間}} = \frac{2d}{\frac{5d}{60}} \]
\[ d \text{ を消して:} \]
\[ V_{\text{avg}} = \frac{2 \times 60}{5} = \frac{120}{5} = 24 \text{ km/h} \]

答え

平均の速度は24km/h!

どうでしたか?

速さの平均を求めるときは、単純に足して2で割るだけではダメですね。行きと帰りの「時間の比」を考えることが大切です。理科や数学の濃度計算なども基本的に同じような構造をしています。

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