磁界を資料で見るのと、実験をするということの大きな違い

 昨日「[科ネ] 2つの実験と教育の未来を考えるきっかけになった本の紹介 [vol.106]」というメールマガジンを配信しました。本ブログでは、月1回のペースでニュースレター(メールマガジン)を登録した方に配信しています。

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 そのニュースレターの中で、今授業で行っている実験を紹介しています。ぼくは恥ずかしながら教員になりたてのころ、実験をあまり多く行っていませんでした。毎日の授業準備で疲れていることもありましたし、受験上の戦略から授業全体を高校3年生の夏前までに終わらせるということを目標にしていたので、授業の詰め込みのために実験の時間をとるということろまで手が回らなかったのです。

 また実験をするということについて、観察実験にしろ演示実験にしろ、その意味をよくわかっていなかったのだと思います。実験の結果は資料集によくまとまっていますし、実験動画も教材会社が作っているので生徒に見せることができます。

 例えば磁界の観察をする実験ですが、磁界の様子は教科書にも資料集にも載っています。結果はわかっているのになぜ実験をするのか。実際に実験をすることによって、目の前の現象をいろいろな方向から、生徒それぞれの視点で眺め回すことができますし、実際に自分の作った磁界の様子と教科書に載っている磁界の様子は異なります。例えば次の磁界の様子は生徒が撮影をしているものですが、

 台紙の置き方によっては、磁石が少しずれてしまっているためにイラストにあわなかったり、また磁極付近ではなく、この磁石ではいろいろなところに砂鉄が結構ついているのがわかります(かなり磁力の弱い磁石を使いました)。

 生徒は砂鉄の手触りや、砂鉄をふりかけすぎたときにダマができてしまって、模様がうまくできなくなってしまったり…と、いろいろなことがわかります。教師も授業準備をしていて、砂鉄は高いところからふりかけなければいけないな…などと、わかっているし当たり前だと思っている実験でも、やってみるとよくわかります。

 生徒は砂鉄を磁石につけてしまえば、砂鉄がなかなかとれなくなって、次の実験に影響を与えてしまうし、砂鉄が服につくと、なかなか落ちないこともわかります。普通は舐めませんが、舐めれば血のような味もします。

 このように、実際に実験をやってみると、教室も生徒も自然現象をそのまま体験することができ、頭での理解だけではなく、磁界を立体的に感じ取ったり、その場でそのようなものがあるのだと受け入れ、理解することができます。こういったことから、実験をやるのとやらないのとでは、まったく違います。

 (もしよかったら自宅でもやってみてください。以外と小学校でやっていないところも生徒にきいてみるとあるとのことです)

 ミュージシャンのCDの売上は落ちているといわれていますが、ライブの需要は高まっているようですが、そのような経験が今はとくに大切なのではないでしょうか。もしホログラムなどで目の前でデジタル的に実験ができたとしても、本物を通して感じた、自分の視点、手触り、におい、味のようなものは、なかなか伝えられないと思います。これが実際にやってみることとの大きな違いです。

 ぼくもこのブログでいろいろな実験を紹介していますが、ファラデーモーターしかり、実際にやってると、わかっていても本当に感動します。こちらに動画がありますが、お子さんと実際に用意をしてやってみてください

 そして、実際にいろいろなところで科学教室をやっていると、やってみる人というのがとっても少ないのでやって理解をする人との差がどんどん開いていくような気がします。

 今日はわかりきっていることだけれど、大事な実験をすることについて書いていました。生徒のみなさんも、教科書に書かれていることを実際に手を動かしてやってみてください。この道具はどこで売っているのかな?というところからはじまり、いろいろな発見と、新しい世界が見えるはずです。

 なお、今週の金曜日に予定しているNSAでは、実際にやってみてわかったこと、やるときのコツを実物を見ながら、手を動かして体験しながら、お伝えする講座です。実践的で明日から役に立つものをと思っております。もしお時間があえばお会いしましょう(^^) お申込みはすべてウェブから行えます。詳しくはこちらを御覧ください。

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プロフィール

桑子 研
桑子 研(くわこけん) 1981年群馬県生まれ。サイエンストレーナーとして全国で実験教室やICT活用講演会を開いている。著書は『大人のための高校物理復習帳』(講談社)、『きめる!物理基礎』(学研)など10冊。