受験生必見!「sinもcosも怖くない」比で物理を攻略する3ステップ解法

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

三角関数、苦手ではありませんか?

数学がそれまではわかったのに、**sin(サイン)やcos(コサイン)**が登場した途端、頭が真っ白になってしまった…そんな経験はありませんか?ぼく自身、はじめてサインやコサインに出会った時は、

「なんじゃこりゃ〜〜」

と思って、なんとなく苦手意識を持ってしまいました。

実は物理の計算問題で使う三角関数は、慣れが9割です。慣れてしまえば、もはや数学の難しい公式ではなく、単なる「便利な道具」の一つに過ぎません。たった2つの代表的な直角三角形の比さえ頭に入れておけば、たいていの問題は乗り越えられます。

この2つの直角三角形とは、1:2:√3 の直角三角形と、1:1:√2 の直角三角形

物理の計算問題では、この2つ以外の直角三角形はほぼ登場しません。もしあなたが三角関数が苦手でも、この2つの比だけは絶対に忘れないでください。それでは、物理基礎の最初の難関「ベクトルの分解」を、三角関数を使った王道の方法と、三角関数を使わない裏技的な方法の両方で、わかりやすく解説していきましょう。

問題

次の力をそれぞれx軸とy軸に分解したとき,それぞれの方向の力の大きさを求めなさい。なおx軸とy軸は直交しています。

(1)スクリーンショット 2014-11-04 18.01.40

(2)スクリーンショット 2014-11-04 18.01.45

解答・解説:王道の「3ステップ解法」

(1) 力の分解は、この3つのステップで考えるのが鉄則です。

3ステップ解法

① x軸・それに直交するようにy軸を作る。
② 元の矢印が長方形の対角線になるように、長方形をつくる。
③ x軸とy軸に沿った2本の矢印に分解する。

それでは実際にやってみましょう。

①・② 矢印が長方形の対角線となるように、長方形をつくる。

スクリーンショット 2014-11-04 18.01.35

③ 2本の矢印に分解する。

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【知識のポイント】

角度θを挟んでいる辺はcos、θを挟んでいない辺はsinを使うと覚えましょう。

(2) (1)と同様に、ベクトルの分解の3ステップをつかって、力を分解していきましょう。

①・② 矢印が長方形の対角線となるように、長方形をつくる。

スクリーンショット 2014-11-04 18.01.24

今回はx軸、y軸が斜めになっているため、長方形も斜めになります。斜面上の運動を扱うときによく使う分解です。

③ 2本の矢印に分解する。

スクリーンショット 2014-11-04 18.01.19

別解:比で解く!三角関数を使わない最強の裏技

「どうしてもsinとcosが苦手…」という人は、比を使いましょう。

実は、三角関数の値も、直角三角形の辺の比から導き出されるもの。だから、比の関係さえ頭に入っていれば、三角関数を使う必要はありません。

例)(1)の問題の場合

この問題の角度は30度なので、直角三角形の比は1:2:√3です。

スクリーンショット 2014-11-04 18.13.28スクリーンショット 2014-11-04 18.13.32

(2)の問題の場合

この問題の角度は45度なので、直角三角形の比は1:1:√2です。

スクリーンショット 2014-11-04 18.13.37スクリーンショット 2014-11-04 18.13.41

いかがでしたか?苦手意識を持つこともありますが、物理基礎ではこの「比」の裏技が本当に役立ちます。まずはこの2つの直角三角形を完璧に頭に入れて、ベクトルの分解をどんどん練習してみてください。慣れてくれば、三角関数なんてなにも怖くなくなりますよ。

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