【看護学生の物理の質問】θがどこにくるのかわからない!図の書き方でクリア!

  • X
ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。 

看護学生も苦戦!? リメディアル教育で物理を楽しく学ぼう!

皆さん、リメディアル教育ってご存知ですか?簡単に言うと、「大学で学ぶための基礎学力を補う教育」のことです。特に、看護系の大学では物理が苦手な学生が多く、そんな学生たちのためにぼくも「まるわかり基礎物理」(南山堂)という教科書を書いたことがあります。

でも、なんで看護で物理が必要なの?って思いますよね?実は看護の現場でも、物理の知識がとても役立つんです。例えば、患者さんを介助するときのボディーメカニクスや、点滴の器具の圧力調整など、意外と身近な場面で物理が使われています。

そんな中、看護系の卒業生や現役生から、こんな質問を受けることがあります。これは高校で物理を教えていてもよく聞かれる質問なので、もしかしたら皆さんにも役立つかも!

「重力の斜面方向にsinθがつくのはなぜ?」

これは、物理の「力の分解」を扱うときによくある疑問です。特に斜面上の物体が受ける力を考えるとき、sinとcosが逆になって混乱しがち。実際に模試の問題を持ってきて質問に来た生徒もいました。例えば、次のような状況を想像してみてください。

 

斜面上での物体の運動

斜面に置かれた物体に働く重力を分解するとき、重力の成分が斜面に沿った方向と垂直な方向に分かれますよね。このとき、斜面に沿った成分にsinθがつきますが、なぜか分かりますか?たしかに重力を分解してみると、どこにθがくるのかが、図からぱっとみて判断できません。

どこにθがくる?

サインとコサインどっち?

まずは、図を極端な図に書き直してみましょう!

このような場合には、三角形の相似条件を使って考えていくことが一般的ですが、与えられた図を極端な図にして描きなおすことをすすめています。例えば、斜面の図の斜面の角度を極端に小さくしてみます。

  

 すると、重力を分解したときに角度の小さな尖った部分がθかな?と推測できます。またθを極端に大きくして、図を書き直しても良いでしょう。例えばさきほどの力のモーメントに関する問題ですが、θを大きくして描いてみましょう。

これなら、どうみてもθの位置がわかりますよね。このように、問題文で与えられている図が45度のようなあいまいな図の場合は、図を書き直して、角度を極端な状態(30度や60度など)にしてみましょう。θの移動が相似条件をつかって考えるよりも、その様子でわかります。

相似や錯角の関係などを利用しています

もちろん、どうしてθがそこにくるの?と理屈で押さえておく必要もありますね。例えば斜面の場合は、2つの相似な直角三角形に着目をして、θの位置を見出していくと、

このように大きさが表せることがわかります。

このように、三角形の相似条件をつかったり、平行線と錯角の知識をつかったりします。こちらに解説動画をまとめたので、合わせてご覧ください。

力とその種類

力の見つけ方とつり合い

力の分解

力ってなんだろう?力の性質とその種類についての授業です。

2力の合成実験(平行四辺形の法則)

プリント(力の種類)

プリント(つり合い)

プリント(力の分解)

科学の情報はこちらにも掲載しています。


・ニュースレターはじめました

[subscribe2]