人生という無理ゲーを攻略せよ!科学的に証明された「ドラクエ化」の魔法「人生ドラクエ化マニュアル」

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

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定価5,500円のテレビゲームに、面白さで負ける人生を送って、どうする!

テレビゲームには、なぜあんなにも夢中になれるのでしょうか? 寝る間も惜しんでレベル上げに熱中したり、強力なボスを倒した瞬間にガッツポーズをしたり。一方で、現実世界に目を向けると、退屈な授業、面倒な人間関係、終わらない仕事…。もし、あのゲームの世界のようなワクワクを、現実世界で再現できるとしたら?

実は、私たちの脳の仕組みをうまく利用すれば、退屈な日常を壮大な冒険に変えることが可能です。今回は、科学的な視点も交えながら、あなたの「人生」というゲームの攻略法を、一冊の本とともにご紹介します。

ドラクエに夢中になった、あの頃

皆さんは子供の頃、「ドラゴンクエスト(ドラクエ)」にハマった経験はありますか?僕は鳥山明さんの描く魅力的なキャラクターやモンスターが大好きで、まさにドラクエ世代ど真ん中。今ではすっかりゲーム機から離れていますが、それは嫌いになったからではありません。一度始めたら最後、間違いなく日常生活に支障をきたすほどハマってしまうのが、自分でも分かっているからです。そんな僕の友人、JUNZOさんが一冊の本を出版しました。

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人生ドラクエ化マニュアル

その名も『人生ドラクエ化マニュアル』。なんと、人生そのものをドラクエのような冒険にしてしまおう!という、非常に挑戦的な本です。ゲームの電源を切った瞬間に襲ってくる、現実世界の絶望感。皆さんも味わったことがあるのではないでしょうか。なぜ、現実世界はゲームのように楽しくないのか?

この壮大な問いに挑んだ著者JUNZOさん(なんと元エニックスの社員!)は、会社を辞め、自らの人生を実験台にして「人生のゲーム化」を実践。そしてついに、その極意を体系化することに成功したのです。

この本には、その体験から導き出された「人生をドラクエ化するための具体的なテクニック」が、これでもかというほど詰め込まれています。初めてこのアイデアを本人から聞いた時、僕は「これ、絶対に本にした方がいいですよ!」と興奮気味に伝えたのを覚えています。なぜなら、僕自身が教師としての苦しい日々を、知らず知らずのうちにこの「ドラクエ化」の発想で乗り越えてきたからです。

この本は、今まさに悩んでいる人を救える!学校で苦しんでいる先生たちの、強力な武器になる!

そう確信しました。僕自身の経験からも、その効果は明らかです。そして、なんと今回、僕が学校で悩み、乗り越えた体験談もこの本に収録されることになりました。この記事は一見「科学のネタ」とは関係ないように見えるかもしれません。しかし、

  • 生徒との関係に悩んでいる先生
  • 新しい授業の形を模索している先生
  • 勉強が「つまらない」と感じている生徒さん

そんな皆さんにこそ、科学的な視点から見ても非常に役立つヒントが隠されています。

なぜゲームは面白くて、現実はつらいのか?

思えば僕も、子供の頃はドラクエに夢中でした。

初めてプレイした時は、「そうび」の意味が分からず、買った「ぬののふく」を装備もせずに満足していました。当然、守備力は上がらないので、ひたすらレベル上げだけでゴリ押しする日々。今考えると恥ずかしい限りです。

それでも、毎日が楽しかった。敵と戦って経験値を稼ぎ、レベルが上がる。その先に広がる新しい世界や、洞窟の奥で見つける宝箱に、毎日心を躍らせていました。しかし、社会人になり、現実世界という名のフィールドに放り出された時、愕然としました。

なぜ、こんなに人生はつらいのか。

このギャップの正体こそ、JUNZOさんの提唱する「ドラクエ化」ができていなかった、ということなのです。では、「ドラクエ化」とは何でしょうか? それは、自分の人生に

  1. 目的(ラスボスを倒す!など)
  2. ルール(制約)
  3. 敵(モンスター)

を意識的に設定すること。たったこれだけで、退屈な日常が冒険に変わる、という理論です。

実はこれ、科学的にも非常に理にかなっています。私たちがゲームにハマるのは、脳の「報酬系」というシステムが巧みに刺激されるからです。敵を倒したり、レベルが上がったりすると、脳内ではドーパミンという快感物質が放出されます。「やった!」「嬉しい!」という感覚は、このドーパミンによるもの。ゲームは、このドーパミンを効率よく放出させるための仕掛けに満ちているのです。

「ドラクエ化」の本質は、この脳の仕組みを理解し、現実世界に応用することにあります。つまり、大変なこと、つらいことも「視点を変える」ことで、ドーパミンが放出される「楽しいイベント」に変換する技術なのです。

社会人1年目の僕は、まさにこの視点が欠けていました。

  • 一生懸命やっても、生徒に思いが伝わらない。
  • 上司から理不尽に叱られる。
  • ただ仕事をこなすだけの毎日…。

生徒が「楽しい!」と言ってくれた瞬間の喜びはあっても、それ以外の辛い時間があまりにも長すぎました。「自分は教師に向いていないのかもしれない」と、本気で転職を考えたこともあります。しかし、ある時ふと気づいたのです。これら全ては、僕自身の心が作り出した「倒せない壁」であり、ゲームのように捉えられていないから苦しいのだ、と。

そこから僕の試行錯誤、つまり「実験」が始まりました。生徒や仕事と改めて向き合い、「どうすればこの状況を攻略できるか?」と、あの手この手を試し始めたのです。

授業で生徒の反応が悪い → 「これは強敵だ。弱点(興味のポイント)はどこだ?」
新しい指導法を試す → 「新しい呪文を試してみよう。効果はいまひとつのようだ…」

この試行錯誤のプロセスそのものが、まさに「仮説→実験→検証」という科学のサイクルであり、ドラクエの世界そのものでした。改善の歯車が回り始めると、昨日まで苦痛だった仕事がやりがいに満ち溢れ、毎日が驚くほど楽しくなっていったのです。

「敵」はラスボスではなく、スライムだった!

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JUNZOさんの提唱するゲーム化理論の中で、僕が最も感銘を受けたのがこの言葉です。

現実世界の敵を、モンスターに置き換えろ!

そして、人生の「敵」は必要不可欠で、実はとても「かわいい」存在だ、という教えです。これは心理学でいう「リフレーミング」というテクニックに近い考え方です。物事の捉え方(フレーム)を変えることで、ネガティブな感情をポジティブに転換する技術ですね。

例えば、「物理の楽しい授業をする」という目的を設定した途端、目の前には「物理への強い苦手意識を持つ生徒」という敵が出現します。目的を設定したからこそ、敵が現れた。そう、敵は自分自身が生み出しているのです。そしてJUNZOさんは言います。その敵は、いじわるで手強い存在ではなく、ドラクエのスライムのように、どこか愛嬌のある「かわいらしい」ものなのだ、と。

確かに、いつも厳しい先輩や上司も、よく観察してみると意外な一面があって、かわいく見えてくる瞬間、ありませんか?

敵がかわいく見えてくれば、もうこっちのものです。様々な実験(アプローチ)を試して、相手がどんな反応をするか記録し、対策を練っていけばいい。これはまさに、ドラクエでモンスターの弱点を探す作業と同じです。経験値がたくさんもらえるメタルスライムを「嫌な敵だ」と思う人はいませんよね。「聖水をかければ一撃で倒せる!」という攻略法に気づくと、むしろ「出会いたい!」とすら思うはずです。

この考え方は、私たちの日常にそのまま応用できます。目の前の「敵(課題)」は、私たちを成長させてくれる貴重な経験値。そして、私たちが繰り出せる攻撃手段(解決策)は、きっとまだたくさん残されているはずです。この視点を得たことで、僕の教師生活は劇的に変わりました。まさに、目から鱗が落ちる体験でした。この本には、僕の「ドラクエ化」ストーリーも収録されています。

P192〜198

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敵は生徒じゃない!生徒の心の中にある「苦手意識」というモンスターだ!

JUNZOさんからの取材を受け、僕の奮闘記がこのような形で紹介されることになりました。

『人生ドラクエ化マニュアル』は、あらゆる場面で応用可能です。

教師であれば、日々の授業改善や生徒指導に。新任で悩んでいる先生なら、きっと世界の見え方が変わるでしょう。勉強についていけないと感じている生徒さんなら、自ら学ぶ楽しさを見つけられるかもしれません。新しい環境に馴染めず、心が疲れてしまいがちなこの季節。もしあなたが「人生、なんだかつまらないな」と感じているなら、ぜひこの本を手に取ってみてください。最初の数ページを読むだけでも、世界が少しだけ明るく見えるはずです。

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